何でも自分で祝うドイツ

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祝われる日本、祝うドイツ

日本とドイツで異なる習慣は山ほどあるが、ドイツ人に話すと「なにそれ、面白いね!」と言われることの1つは、友達が誕生日パーティーを企画してくれること。というのは、ドイツでは誕生日の人が自分でパーティーを企画し、準備し、友達を招待するのが普通だから。

日本式だと、誕生日の人は何もしなくてよいので楽な反面、周りの人に忘れられていないか、ちょっとソワソワすることもあるかもしれない。「もうすぐ誕生日なんです」とさり気なく口にしてみるのも、祝ってほしいとアピールしているようで何だか気が引ける。また、祝う側としても、それぞれの友達の誕生日をちゃんと覚えていて、サプライズなり食事なりをどうするか仲間内で相談するのは、楽しいが大変な場合もある。

一方で、ドイツ式だと、大変なのは誕生日の人。ホームパーティーをしようと決めれば、前日からお菓子を焼いたり、部屋の飾り付けをしたり、料理を作ったり、大忙しになる。招待されたゲスト達は、プレゼントや飲み物を持ってお祝いにやってくる。誕生日の人は、ホスト役として気を配らないといけない。

ラズベリーで『22』と書かれた手作りケーキをカットしているところ
10年近く前の写真だが、友人Cの22歳の誕生日にて

忙しくて自分で準備できない場合には、「レストランでみんなで食事しよう」と友達を招待することもある。私のハイデルベルク時代の友人Jは、毎年家で誕生日パーティーをしていたが、去年だけは時間がなかったらしく、この形式になった。10人くらいの友達が指定のレストランに集まり、わいわい飲み食いした後、自分の分を支払いしようとすると、何だか安い。

みんなが最初に頼んだドリンクは、僕が払っておいたよ!今年は家に招待できなくてごめんね

とJが言うので、誕生日の人に奢られてしまったことに、ちょっと不思議な気持ちになった。

この、「おめでたいことがあるから、一緒に祝ってね」と本人が招待するスタイルは、日本でも他の場面では普通である。そう、結婚式。招待された側は、都合が付けば参加して、どうしても予定が合わなければ事前に断ればよいわけで、合理的と言えばそうかもしれない。

ドイツでは、20歳、30歳、40歳など、区切りになる誕生日は特に盛大にお祝いする。レストランやダンスホールを貸し切って、100人以上のゲストを招待するというのもよく聞く話である。

誕生日ケーキを持参

誕生日が平日に当たった場合、友達を誘ってのお祝いは週末にするとしても、当日どうするか。ドイツでは、多くの人がケーキなどを学校や職場に持参する。手作りするのが一般的だが、無理ならもちろん買っていっても大丈夫。

ドイツの会社では、フロアごとに社員用のミニキッチンがあるのが普通で、食器はもちろん、冷蔵庫や食器洗い機、電子レンジまで置いてあることもある。テーブルと椅子も設置されていれば、お昼休みや休憩時間をここで過ごせるので便利。大学も同様で、教職員用のミニキッチン兼休憩スペースがある。

私がしばらく働いていた南ドイツの会社では、部署に100人以上の社員がいたので、毎週誰かしら誕生日のお祝いを自分で持ってきた。出勤してキッチンにコーヒーを淹れにいくと、テーブル横に食べ物が置いてあって、「今日は私の誕生日です。ご自由にどうぞ」とメモ書きがあったり、なかったり(ない場合には、「今日は誰の誕生日?」と部署の中で聞き回ることになる)。誕生日の人には、「おめでとう、今日が誕生日だったんだね!さっきケーキを一切れもらったよ、ありがとう」と声を掛ける。

ある日、ケーキではなく、ユニークなものを持ってきた人がいた。いつものように、キッチンスペースにコーヒーを淹れにいった朝、私はこんなものを見つけてビックリ。

ケーキと、チーズなどが挟まれた巨大なプレッツェル
切り分け用ナイフの大きさとの差に注目

超特大サイズのプレッツェル!

チーズやらハムやら野菜やら、色々なものが挟まっている。みんな朝一でキッチンに来るから、朝ごはんになりそうなものを、と考えたようで、ケーキのような菓子パンと一緒に、パン屋で注文しておいたらしい。ナイスアイディア!

子どもの誕生日パーティー

誕生日を自分で祝うのは準備が大変でも、年に1回だけのイベントだから、楽しめそうな気がする。しかし、本当に大変なのは、小さな子どもがいる家庭。Kindergeburtstag(キンダーゲブーツターク)といって、子どものための誕生日パーティーを主催する場合には、結局は親が全て準備することになる。

子どもの仲の良い友達を何人も招待すると、家は保育園状態、というかもはや無法地帯

窓の前に置かれた大きなビニールプールで遊ぶ子ども8人
中庭のプールで大はしゃぎ

仲良くしてもらっているドイツ人家族のお母さんに、「週末に娘の誕生日パーティーをするから遊びにおいで。これも1つの経験だから」とウインクされながら言われて出向いた私は、子どもたちの勢いにアタフタ。幸い、この家族の家には中庭があるので、はしゃぎ回ってもご近所迷惑にはならない。

中庭のテーブルを囲む子ども達と、大人3人
手作りのお菓子を食べながらティータイム

子ども達を飽きさせないため、両親は色々なプログラムを用意していて、お父さんがギターを弾いて全員で合唱したり、簡単なゲームをみんなでしたり、家の中でプロジェクターを使って読み聞かせをしたり、さぞ準備も大変だったと思う。

子ども達も夢中になって見ていた

大人2人では複数の子ども達に目が行き届かないので、この日、ベビーシッターの女性もお手伝いに来ていた。私がベルリンで親しくしている別のドイツ人家族も、子どもの誕生日パーティーにはいつもお手伝いの人を呼ぶと言っていたので、どこでも(両親にとって)一大イベントのようである。

送別会も…

自分で準備するのは誕生日だけではない。仕事やアルバイトの最終日にも、それまでの感謝の気持ちを込めて、本人がお菓子などを持っていく。

送別会も本人が企画して、同僚を招待する。前述の特大プレッツェルが置かれていた職場では、部署異動する人が多かったので、毎週のように誰かの送別会があった。といっても、例のキッチンスペースで、就業時間内に行われる。部署を去る人が、自分で日時を決めて準備をし、会議通知のようにOutlookで招待メールを送る。大抵、スナックやケーキが用意されていて、まずシャンパンが振る舞われる(お酒を飲めない人にはオレンジジュース)。

「仕事中に飲んでいいんですか」とちょっと戸惑った私に、「これくらいじゃ酔わないから大丈夫よ」とみんなあっけらかんとしている。キッチンの食器棚の中に、どうして大量のシャンパングラスがあるのだろうと思っていたが、この時に合点したのだった。

私は日本法人からの研修ということで、3ヶ月働いただけだったので、何もせずにそっと帰国するつもりだったのだが、勤務最終日が近づいたある日、ばりばりの南ドイツ訛りの上司に声を掛けられた。

まだ送別会の招待が届いていないけど、やるよね?

「いえ、私は短期間だったので…」と言葉を濁したが、「いやいや、区切りとして、ちゃんとやった方がいい!」と言われ、しぶしぶ準備をして招待メールを送った。結果的に、仕事の合間を縫って大半の人が集まってくれて、キッチンスペースはぎゅうぎゅうに。

キッチンでの集合写真
黄色い星が私

自分で企画するのはちょっと変な感じだったが、こちらから感謝を伝えてお別れするために、もてなす側に回るのも悪くないな、と思った。隣の席の同僚が、みんなから事前に集めたお金でプレゼントを用意してくれていたのも嬉しかった。私は、デスク周りにどうぞ、と折紙の鶴を全員にプレゼント。

みなさんもドイツ式に、自分でパーティーを企画してみませんか?

ドイツ考察
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