ドイツ永住権を獲得!前編:外国人局という強敵

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念願叶う

先日ついに長年の念願が叶った。ドイツの永住権を取得したのである。つまり、特定の目的なしに、いつまでもドイツで暮らすことができるようになった。

私が日本の市役所に海外転出届を提出し、ドイツへ移住したのは2016年2月のことなので、それから6年以上が経つ。その前にしていた留学や長期出張も含めると、ドイツで暮らしているのは7年を超える。

無期限でドイツに住みたいと思っている人にとって、永住権の獲得は、最も大きな目標と言えるかもしれない。ここまでの道のりは長く、私も綱渡りのように危なっかしい局面を何度も乗り越えてきた。努力できる部分は努力したが、それと同じくらい運とタイミングにも恵まれていたと思う。

この記事では、永住権を得るまでの流れと、それが何を意味するのかについて記してみたい。正確には『無期限滞在資格』(Unbefristeter Aufenthaltstitel)という名称なのだが、日本語としてイメージしやすいと思うので、ここでは『永住権』と呼ぶことにする。

滞在許可とは?

一般的に、ある国で外国人が暮らすためには、その国から滞在許可を得る必要があり、働く場合には労働許可も必要となる。(そういう意味で、EUが実現した、加盟国間を自由に移動し居住できるというEU市民の権利は、本当に画期的である)

日本のパスポートは世界的に見てかなり信頼度が高く、短期滞在であればビザなしで入国できる国が多い。ドイツもその一つであり、長期滞在を予定している場合でも、ひとまず入国してから90日以内に現地で滞在許可を申請するという原則になっている。

ワーキングホリデービザは、渡航前に日本のドイツ大使館・総領事館でも申請できる。詳しくは以下のページを参照
ワーキングホリデー・ビザ
ワーキングホリデー・ビザ制度は日独両国の合意に基づくもので、日本の若い人たちにドイツの文化や日々の暮らしに触れる機会を提供するためのものです。滞在可能な期間は3ヵ月以上1年以内で、最長365日、ドイツのさまざまな職場で働くことができます。申請必要書類等は下記をご参照ください。

日本で勤めていた会社を退職した後、私も2016年にビザなしで入国したが、この時点ではドイツで何をするか未定だったので、最初から綱渡り状態だった。結果的に以下のような流れで、毎年のように滞在許可を更新してきた。

2016年
ハイデルベルクの大学院から入学許可が出たので、学生用滞在許可を申請し、2年分発給される(修士課程は最短2年必要なため)

2018年
修了までにまだ時間が掛かることをハイデルベルク大学に証明してもらい、学生用滞在許可を1年間延長

2019年
修士号取得後、職探し用滞在許可を申請し、1年分発給される(1年で仕事が見つからなかった場合、半年は延長可能とのこと)

2019年
仕事が見つかったので、就労用滞在許可を申請し、1年分発給される(1年目は雇用が1年契約のため)

2020年
就労用滞在許可を1年間延長(2年目も雇用が1年契約のため)

2021年
就労用滞在許可を4年間延長(3年目から無期限雇用になったので、最長4年延長可能)

2022年
永住権を申請!

この流れを見ていただくとわかると思うのだが、滞在許可はあくまで「目的ありき」かつ期限付きで、学業であったり就労であったり、滞在目的に合わせて発給される。ドイツでは雇用契約が2年目まで1年更新のことが多いので、その間は滞在許可も毎年更新しなければならない。

更に言えば、卒業したり失業したりして、滞在目的がなくなると滞在許可も失効してしまうし、大学や勤務先が変わればその都度更新の必要がある。私も大学院を出て職探しをしている時期など、「うまく次のステップに進めなかったらドイツにいられなくなるかもしれない」という危機感が常にあった。

永住権の偉大さ

それとは対照的に、永住権のすごいところの一つ目は、「特定の目的なし」でOKになること!例え失業してその日暮らしになっても、滞在資格はなくならないし、職種が制限されることがある一般の滞在許可とは違い、兼業や副業も自由だ。

そもそも、滞在許可、仕事、お金、家という、ドイツで長期的に暮らすために必要不可欠な要素は、相互に複雑に結びついていて、うまく両立しないこともある。例としては、正規学生用や語学留学生用の滞在許可は、入学許可さえあれば大抵の場合問題なく取得できるのだが、労働時間が制限されているので、あまりアルバイトできず経済的に厳しくなる。

そのうえ、“卵が先か鶏が先か”という問題に直面して頭を抱えることも多い。例えば、住む場所がなければ住民登録をできず、住民登録できなければ滞在許可を申請できないのだが、滞在許可がなければ賃貸契約を結べないことも多い。まさに「どうしたらいいの!」と叫びたくなってしまう。

また、就労用滞在許可の申請には雇用契約書が必要なので、仕事がなければ許可をもらえないのだが、当然ながら許可がなければ働けない。

私の現在の職場も、ドイツ国籍か、ドイツの滞在許可と労働許可をすでに持っている人しか元々雇っていませんでした。それから就労用滞在許可を申請する段階だった私が採用されるのは特例中の特例ということで、本部からOKが出るまで3ヶ月にわたるバトルがありました…結果的に先に雇用契約書を出してもらえましたが

そして、永住権のすごいところの二つ目は、無期限ということ。更新や延長手続きをしなくていいということが、どれだけドイツ在住の外国人にとってありがたいかを理解するためには、まず滞在許可を管轄している「外国人局に行く」ことがいかに大変かを説明しなければならない。

悪名高き外国人局

外国人局、というのは、少なくともベルリン在住の非EU市民の間では、聞くと身震いを起こすような単語に違いない。というのも、ほとんど悪い話しか聞かないからである。慣用的に「外国人局」(Ausländerbehörde)と呼ぶ人が今でも多いが、正式には「ベルリン州移民局」(Landesamt für Einwanderung Berlin)という名称である。

ベルリンの外国人局にはロケーションが二つあり、特に評判が悪いのは、ヴェディングという地区の工業地帯にある本局の方だ。もう一つのロケーションは学生や研究者、職業訓練を受けている人などを担当しているが、本局はいわゆる移民・難民のあらゆる案件を扱う。場所からして殺伐としていてこの世の果てのようであり、最寄駅から外国人局に向けて歩いていくと、見てそれとわかる難民の家族など、様々な肌の色の人々が周りにどんどん増えていく。

ベルリンの外国人局の本局、入口前に黄色いベストを着た警備員が何人も立っている
早朝から何人もの警備員が立っている本局

滞在許可の申請や延長というのは非常に重要で、できないと不法滞在になってしまうのに、ベルリンの外国人局は恐ろしく予約が取りにくい。基本的にオンラインの事前予約がないと中に入れてもらえないのだが、数ヶ月先まで空いた予約枠が一つも表示されない、というのが普通の状態である。

手持ちの滞在許可の有効期限が切れる4~6週間前に更新に行くことが推奨されているところ、私は3ヶ月くらい前から予約ページを一日に何度も開くようにしていた。前回は予約を取れるまでに約6週間かかり、その間に予約ページを何百回開いたのかわからない。キャンセル分と思われる予約枠がぽっと現れた時がチャンスである。

取れた予約の日までに手持ちの滞在許可の有効期限が切れてしまっても、予約していることが証明できれば不法滞在とは見なされない。ただし、この期間にうっかりドイツを出国してしまうと基本的に再入国できないので、注意が必要

予約を取れずどうしても切羽詰まっている場合には、外国人局に朝早くから並ぶと整理券をもらえるようになっていたが、これも現在はコロナとウクライナ難民増加の影響で中止となっている。曜日によっては朝7時から開くので、朝5時から並ぶ人もいたようだ。

打たれ強さを試される場所

さて、諦めずに予約ページをチェックし続けてどうにか予約枠をゲットし、様々な必要書類をかき集めて外国人局に出向いた当日。ここでまた心が折れそうになる人も多い。失礼極まりない、高圧的な態度を取る担当者にあたることが少なくないからだ。

日本人の友人達の実例で言うと、ドイツ人と結婚しているので配偶者としての滞在許可を申請しにいったところ、「最初は期限付きの発給になります、いつまで結婚生活が続くかわかりませんから」と嫌味っぽく言われた人や、そもそも本人はまったく目も合わせてもらえず、同行したドイツ人の夫としか会話してもらえなかった人がいる。

一番ひどい目に遭った同僚の話では、「あなた、何しに来たんですか」と最初から突き放されたうえ(何しに来たと言われても滞在許可の申請に決まっているのだが)、「あなたが触ったファイルなんて汚くて触りたくない」という内容のことを言われたそうだ。人種差別として訴えられて当然の、最低最悪の対応である。ちなみにこの担当者は、最終的には嫌々ながら申請書類を審査してくれたらしいが、ちゃんと労働局に書類を転送していなかったようで後から問題になり、私達の職場も巻き込んで大変な騒ぎになった。

私自身は幸いそこまでひどい経験をしたことはないが、職員や警備員の態度が本当に失礼で、嫌な思いをすることは何度もあった。普通の人間ではなく、疑ってかかるべき犯罪者のように扱われ、こちらは普通に会話しようとしているのに責めるように詰問される。

例えば、まだ交付が郵送ではなかった時期に、滞在許可証を受け取りに出向いたとき、窓口の前に列ができていて、待っているうちに受付の終了時間になってしまった。私の前の人で打ち切りにして窓口を閉めようとしていたので、「もう30分くらい待っているんですが、私は受け取りだけですぐ終わるので、よかったら対応してもらえませんか」とお願いしたところ、「そんなに待つはずがない、今来たくせになんでそんな嘘をつくんだ!」と窓口の女性二人に怒鳴られた

その態度に私は怯みそうになりながらもムカっとし、「嘘つくわけないでしょう、ここにいる周りの人達に聞いてみるといい。仕事の都合でもう当分来られないから、どうしても今日受け取りたい」と強気に食い下がり、対応してもらえない限り帰らない素振りを見せたところ、悪態をつきながらも担当者に電話し、どの部屋に行けばいいかを教えてくれた。

今でも思い出すだけで嫌な気分になるが、もちろん職員が全員揃って最低なわけではない。その日も私の滞在許可を用意してくれていた担当者の女性は非常に感じが良く、親切に質問にも答えてくれて、窓口の二人とは対照的だった。

どの担当者にあたるのかという運もあるし、町によってはベルリンほど殺伐とした雰囲気ではないと思うが、外国人局に毎年行くとなると心理的な負担はかなり大きい。予約を取るのに時間が掛かるので、申請が終わったと思ってほっとする間もなく、数ヶ月後には次の申請に備えて動き出さなければならない。また、滞在許可証の発給や更新には毎回100ユーロ程度の手数料が必要となる。

ということで、この嫌なルーティーンから抜け出すことができる永住権の存在は本当に偉大。これさえ持っていれば、基本的にもう二度と外国人局に行かなくていいからである。

いよいよ次の記事では、永住権申請の方法や、受け取るまでの実体験を記してみたい。

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