ドイツで人気の旅先
そもそも旅行好きの人が多いドイツで、「休暇でどこに行ったか」という話をしていると、頻繁に名前が出てくる国がある。それはクロアチア。私の周りの人達でいうと、半数くらいはクロアチアに行ったことがあると思う。
そして行った人は口を揃えて「よかった!」という。オレンジ色の屋根が並ぶ街、青々と輝くアドリア海、新鮮な魚介類…。同じヨーロッパとはいえ、ドイツでは見られない風景や食べ物と出会える国。
私もいつか行ってみたいと思うようになって数年経つが、コロナ禍でしばらく実行できないでいた。そうこうしているうちに、2023年1月からユーロ導入とのニュースが!(2022年までは「クーナ」という自国通貨だった)
これで両替も必要なくなるし、今年こそ行ってみようと同居人のベルリーナー・Dと話して、4月末〜5月初めに11日間の旅程を組んだ。
観光大国クロアチアは、夏のバカンスシーズンには大混雑になるということで、イースターと夏休みの間のオフシーズンに行くことに。海で泳ぐにはちょっと早すぎるが、ドイツと比べれば気温も高く、初夏のような陽気の日もある時期だ。
移動は長距離バスで
クロアチアは日本のように南北に細長い国である。私たちが調べた限りだと、鉄道網は全土に張り巡らされているわけではなく、現地の人たちにとっても長距離バスが普段の足となっている。電車の駅がない町にもバスターミナルはあった。
私たちも長距離バスに乗って、クロアチアで主要な観光地となっている町を旅した。下の地図にマークしたルートで、AからFまで南下したかたちである。
A=リュブリャナ(スロベニアの首都)
B=ザグレブ(クロアチアの首都)
C=プリトヴィツェ湖群国立公園
D=ザダル
E=スプリト
F=ドゥブロヴニク
実は今回、クロアチアへ入る前に、スロベニアにも一泊した。というのも、この両国の首都の間はバスで2時間半くらいと近いので、せっかくだからリュブリャナにも行ってみようということになり、往路はベルリン→リュブリャナ、復路はドゥブロヴニク→ベルリンのフライトを予約したのだった。
念のため、それぞれの町の間を移動する長距離バスも事前にオンライン予約したが、なんとすべてFlixBusで予約できた。FlixBusはドイツ在住者には馴染み深い、黄緑の車体が特徴的なドイツの格安長距離バス会社で(ドイツではFlixTrainという格安高速列車も運行)、ヨーロッパ内に無数の路線を展開している。ただ、実際には地元クロアチアの提携会社のバスに乗せられることもあり、毎回FlixBusの車体というわけではなかった。
私たちが移動した中で一番の長距離だったのは、スプリト→ドゥブロヴニク間の約5時間。長旅ではあるが、うねうねと海岸沿いの高台を走ったり、ボスニア・ヘルツェゴビナの領土を迂回するように橋を渡って向かい側の半島を進んだり、緑の広がる農業地域が車窓から見えたりと、変化に富んだ風景を眺めていると退屈することはなかった。
旅の序章・リュブリャナ
さて、まずは私もDも初めて降り立ったスロベニア。
リュブリャナ空港で乗った市内行きシャトルバスは面白いシステムで、ミニバンが何台か停まっており、受付担当の人に一律の料金を払って行き先(ホテル名など)を伝えると、車ごとに同じ方面に行く人を振り分け、満員になると出発する。順々に行き先で停まって降ろしてくれるので、乗合タクシーのような感じだ。
私たちの横に座ったイギリス人女性は、一人で来ているそうで、「スロベニアに来るのは2回目だけど、自然が綺麗でのんびりするのにピッタリなのよ」という。
そういえば、私が大学生の頃、イタリアに留学していた日本人の友達二人が、「最近スロベニアに行ったんだけど最高だったの!のどかで、人も優しくて、落ち着いていて…隣の国なのに、どうしてイタリアとあんなに違うんだろう」と首を捻っていたのを思い出す
スロベニアはこじんまりとした国で、全人口はわずか約210万人、首都リュブリャナは約28万人。東京とは比べようもないが、私が住んでいるベルリンですら約365万人いることを考えると、いかに人口密度が低いかがわわる。
空港からシャトルバスで市街地に入ると、私とDは目をパチクリさせた。予想以上に第一印象が良かったのだ。上品で繊細な印象の建物が並んだ可愛らしい街並みで、何よりベルリンと違ってゴミが落ちておらず綺麗!
リュブリャナの中心部は半日あれば見て回れるくらいコンパクトで、穏やかに流れる川の両側にレストランやカフェが並んでいる。
私たちも川沿いをぶらぶら散歩したり、丘の上のお城まで歩いて行ったり、屋内市場を冷やかしたりしながらゆっくり過ごした。
食べ物も美味しかった。地理を考えれば当然といえば当然なのだが、国境を接した周辺の国々と共通で食べられている名物もあり、イタリアのニョッキ、ハンガリーのグーラッシュ(スープ)やオーストリアのパラチンケン(パンケーキ)と似たものもあった。
それから、スロベニアとクロアチアといえば、トリュフの名産地としても知られる。お土産屋さんに入ると色々なペーストやオイルを売っていて、試食させてくれることも。
私は手荷物のリュック一つで旅していて、お土産に液体は買えなかったのだが(国際線のフライトでは機内持ち込みに制限がある)、地元のアーティストの作品を扱っているセレクトショップとスーパーでこんなものを購入。
のどかで清潔感があるスロベニアを私たちもすっかり好きになりつつ、旅は本編のクロアチアへと続きます!
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