妊婦が見た日独の違い

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長距離フライト

突然だが、私は現在ベルリンで妊婦生活を送っている。妊娠7ヶ月目から8ヶ月目にかけて、休暇で3週間半ほど日本に一時帰国した際に気が付いた日独の違いが幾つかあったので、ご紹介してみたい。

青空の下に停まっているANAの飛行機
大晦日にベルリンを出発し、元旦の朝に到着した羽田空港にて

首都なのに…と意外に思われるかもしれないが、ベルリンからは日本行きの直行便がないので、どこかで乗り換えなければならない。私と夫のベルリーナー・Dは、まずフランクフルトで乗り換えて羽田空港まで飛び、更に私の家族がいる四国まで国内線を乗り継いだ。空港までの移動時間も含めると、約24時間の長旅である。

そもそも、妊娠後期になって長距離フライトに乗って大丈夫なのか、と思われるかもしれない。これについては日独ともに、出産日の間近ではなく、体調に異常がなければ特に問題なし、とされているようだ。私は掛かりつけの産婦人科医にも事前に相談したが、経過も順調だし大丈夫、とのことだった。

搭乗に関する規定は航空会社によって異なるが、ANAでは以下のようになっており、私は出産予定日までまだ数ヶ月あったので、特に何も提出する必要はなかった。
出産予定日を含め15日以上28日以内:医師の「診断書」の提出が必要
出産予定日を含め14日以内:医師の「診断書」の提出および「医師の同伴」が必要

ちなみに、私は日本国籍ながら、日本に住民票がないので国民健康保険は利用できないが、ドイツの海外旅行保険に入っているので、もし日本滞在中に病院に行くことになってもカバーされて安心。

航空会社の気遣い

今回はドイツ・日本間の国際線はANA、日本国内での旅行ではJALを利用したのだが、どちらとも「さすが日本」と感心させられるサービス精神だった。

私は日本国内の空港のカウンターで荷物を預ける際に、妊娠中であることを伝えていた。事前に航空会社のHPで、オリジナルのマタニティマークをもらえるという情報を見ていたからだ。

「おなかに赤ちゃんがいます」と書かれ、航空会社のロゴが入ったマタニティマーク
カラフルで目を惹くANAのマークと、小さな絵馬のような木製のJALのマーク

カウンターでは出産予定日も聞かれたので答えると、システムに登録されたようだった。何かお手伝いできることはありますか、とも聞いてもらったが、私は夫と一緒だったので一人で荷物を運ばないといけないわけでもなかったし、体調も良かったので、特に大丈夫ですと答えた。

JALの国内線では、離陸後しばらくしてから、私が妊娠中だという情報をシステム上で見たらしい客室乗務員の女性がこちらに来て、機内の温度は快適か、何か必要なものはあるかなどを聞いてくれた。そして着陸する前には、「こちら、赤ちゃんが産まれたらお使いください」とプレゼントを持ってきてくれた。

「ベビーと楽しむ空たびBook」と「色が変わるコップ」
カラフルな小冊子とキッズコップ

羽田からフランクフルトまで乗ったANAの国際線では、到着の1~2時間前に、「おなかにベビーちゃんがいらっしゃるとお聞きしました」と客室乗務員の女性が笑顔で来てくれ、やはりおもちゃをプレゼントしてくれた。

赤ちゃん用絵本「しましまぐるぐる」と、飛行機の形をしたぬいぐるみ
カラフルな絵本と、手首につけられる小さなぬいぐるみ

こういったサービスに夫のベルリーナー・Dは、「妊娠中に日本に来るのは一生に一度のことかもしれないし、ありがたく利用させてもらおう」と言って感心しきり。

もう一つ、日独の違いとして気が付いたのは、飛行機に搭乗するときのアナウンス。ANAとJALでは、優先搭乗の対象者として、「妊娠中のお客様」と明確に放送されるので、私も何度か一般の搭乗開始前に通らせてもらった。それがドイツの航空会社では、「小さなお子様連れのお客様」は呼ばれるのだが、妊婦には言及がない。

羽田空港の国際線ターミナルでは、手荷物検査の列でも優先レーンに通してもらった。妊娠中の体調は人それぞれで、出産までずっとフラフラの状態という人もいれば、つわりも全くなく元気という人もいる。ただおなかが大きくなってくると動きがスローになるし、こうした配慮があるのは誰にとっても助かるだろう。

マタニティマーク

ところで、日本では厚生労働省が2006年にデザインを決定してから配布されているというマタニティマークは、素晴らしいアイディアだと思う。残念ながら、ドイツでは同様のものは存在しない。

ドイツでは、公共交通機関で誰かに席を譲るのはよく見られる光景である。お年寄りや、怪我をしてギプスをしている人が乗ってくると、気が付いた人はみんな腰を浮かせて席を空けようとする。明らかにおなかが大きい妊娠後期であれば、自然と席を譲られることもあるだろう(私は妊娠後期が冬だったので、外ではゆったりしたコートを着ていて、気付かれることがなかったが)。

しかし、私自身一番つらかった時期は、大きなおなかを抱えている妊娠後期よりも、つわりで常に気持ち悪かった妊娠初期だった。おそらく同じ思いをしたことのある女性は多いと思う。中期に入るまでは見た目にあまり変化がないので、妊娠しているとは言わないと気付かれない。

立っているのが大変で少しでも座りたくても、「妊娠中なので席を譲ってほしい」とこちらから誰かに頼むのはやはり勇気がいる。そういうときにマタニティマークがあれば便利だなと思う。

私は妊娠前、ベルリンの路面電車で座っていたとき、一見しただけではそうとわからない障害者の女性が目の前に立ち、障害者手帳を提示されたので、慌てて席を譲ったことがある。妊婦であれば、母親手帳(日本でいう母子手帳)を見せれば良いのかもしれないが、実際にはそういったシーンは目にしたことがない。

ただ、ドイツでは日本のラッシュアワーほど公共交通機関が混み合うことはなく、バスでも電車でも、探せば一席は空いていて座れることがほとんどです

マタニティマーク自体は素晴らしいと思う一方で、日本ではそれをつけて混雑する電車やバスに乗っても、優先席を譲ってもらえないことが多いとも聞く。すでに座っている人がマタニティマークに気付かなかったり、寝ていたりするためかもしれないが、残念であることには違いない。

それどころか、悪意のありそうな足の踏み方をされたり、混雑した電車の中でわざとおなかを押されたりしたという経験も聞いたことがあるので恐ろしい。

生魚を食べていいのか問題

さて、ドイツから日本へ行くと大きく変化することの一つは、もちろん食事である。当然ながら、医学的に妊婦に推奨されていることが両国で大きく違う、ということはない。飲酒は言うまでもなく控えた方がよい。カフェインも過剰摂取は避けること。

ドイツの産婦人科で検査を受けて妊娠が確定した際、まず言われたのは、「加熱されていない肉と魚未加熱乳から作られたチーズは食べないように」。そもそもドイツでは食べる習慣がないので言われなかったが、生卵もここに加わるだろう。

確かに、妊娠中でなくとも、生ものでおなかを壊すということはある。

以前、ベルリンで食べた生牡蠣で一回、牛肉のタルタルステーキで一回、翌日に食中毒のような症状になったことがあります…

妊娠中は生ハム、スモークサーモン、ナチュラルチーズなど好きなものを食べられないのは悲しかったが、もちろん私が何かの菌に感染して胎児を危険にさらすことはできないので、ぐっと我慢。

一方で、一時帰国の日が近付くにつれて、私が気になって色々と調べた問題があった。それは「日本の新鮮な魚介類も生では食べない方がよいのか」。

ドイツでは、肉より魚の方が高価で、種類もずっと少ないし、新鮮さが足りないのか美味しい魚に出会うことはめったにない。個人的に日本よりも美味しいと思うのは、北欧から輸入されている脂ののったサーモンだけである。

以前、仕事の関係で、ベルリンで何店舗も展開しているお寿司屋さんの厨房を覗かせてもらったことがあるが、スペインから輸入したという巨大なマグロを捌いているところだった。美味しそうではあったが、鮮度を考えると、確かに妊娠中には避けた方がよさそうだなと思う。ドイツのスーパーで売られているお寿司は言わずもがな、である。

しかし、日本で新鮮な刺身やお寿司を食べて食中毒になったという話は、個人的に聞いたことがない。妊娠中は免疫力が低下していると言うが、加熱されていない魚介類を日本でも徹底的に避ける必要があるのかどうか…。

インターネットで調べたり、周りの日本人ママ達に話を聞いたりした結果、辿り着いたのは、「食べない方が方がもちろん無難だが、食べる場合には鮮度に気をつけて自己責任で」という結論。私の友人たちは、妊娠中も時々刺身やお寿司を食べている人が多かった。

日本の公的機関はどういう見解なのだろうと調べてみると、厚生労働省は、水銀を多く含む魚介類を妊婦が食べることに関しては注意喚起を行なっているが、生で食べることに関しては特に言及が見つからなかった。

「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項(平成22年6月1日改訂)」のパンフレット

というわけで、私は日本滞在中、訪問先や滞在先の旅館などで刺身やお寿司を出されると、食べていた。ベルリンで食あたりを起こした苦い経験から、生牡蠣は避けたのと、肉料理は中までよく火を通してもらうようにお願いしたが、どのお店も快く対応してくれた。

それから、ドイツでは食べものから摂取することがほぼないが、日本では日常的に口にする栄養素がある。それはヨウ素

昆布や海苔などの海藻類に豊富に含まれていて、特に妊娠中は、胎児の脳や身体の発達に欠かせない栄養素だ。ただし、過剰摂取は甲状腺機能の低下に繋がるとされ、注意が必要。

ヨウ素不足が深刻なドイツでは、塩に添加されていることが多い。そして、私が妊娠してから毎日飲んでいるドイツ製の葉酸のサプリにも、ヨウ素が含まれていた。

一時帰国前にふと、ヨウ素の過剰摂取が心配になり、日本では日本製の葉酸のサプリ(もちろんヨウ素の添加なし)を買って飲むようにした。

日本のおもてなし

その他にも、妊婦として日本にいると、「こんなサービスはドイツではなさそう…」と思うおもてなしを経験することがあった。

愛媛県松山市の道後温泉にある、以前宿泊して素晴らしかったホテルを、今回も一泊二食付きでオンライン予約していたのだが、妊娠中であることもコメント欄に書いておいた。すると、案内された部屋には、デフォルトのお茶やお菓子のほか、私のためにこんな籠が!

ホテルの部屋の一角に並べられた、水のボトル、湯沸かし器、急須、湯呑み、ティーバッグなど
カフェインレスのお茶のペットボトル、ティーバッグとフィルターコーヒー、ブランケットが入っていた

夕食と朝食の席でも、避けている食べものに細かく気を遣ってくれたり、私だけカフェインレスのお茶に替えてくれたりと、至れり尽くせりだった。

このホテルの最大の特長は、全客室に専用露天風呂が付いていること。何回でも好きなだけ温泉に浸かり、山の上の松山城を眺めることができる。

木製の目隠しがついた、やはり木製の長方形の露天風呂
自分の客室なので、冷たい飲みものも持ち込んでゆっくりできる。Dはビールを楽しんでいた

この客室露天風呂は、妊娠中の今回、特に嬉しかった。長湯や熱いお湯は避けた方がよいと言われるが、部屋ならちょっとだけ入ることもできるし、フロントに電話すれば温度の調節もしてくれるし、浸かりながら好きなだけ水分を摂ることもできるし、何よりおなかが大きくなっていても人目を気にする必要がない。

道後温泉に滞在したのは、一時帰国の最後の方だったので、ドイツに戻ったらこんなおもてなしを受けたり贅沢をしたりする機会もなくなってしまうなぁ…と急に寂しくも感じたのだった。

妊婦として3週間半滞在した日本、個人的にはとっても快適でした。万が一のことがあっても、すぐ病院に行って母語で対応してもらえる、という安心感も大きかったです

日本考察
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