ドイツ在住者が日本で買うもの

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一時帰国の楽しみ

時々一時帰国する海外在住者の多くにとって、家族・友人の顔を見ることの他に、買い物も大きな目的の一つだろう。そういう私も、日本へ行くときにはほぼ空のスーツケース2個を持っていき、満杯にしてドイツへ戻る。

私が色々と買い込んでいると、「そんなものまで買っていくの」と日本の家族に面白がられるのだが、それはドイツでは貴重だということの裏返しでもある。この記事では、一時帰国中の買い物について記してみたい。

暗い空を背景に並ぶビルと、濡れた地面に反射するネオン
雨の日の新宿駅付近。同じ首都でもベルリンでは見られないビル街では、あらゆるものが売っている

食料品

食料品に関して言うと、「日本でないと絶対に買えない」というものは意外に多くない。日本食ブームが続くドイツでは、アジア食料品店に行けば、一通りの食材は手に入る。

ただし、品揃えが限られるのと(日本産とも限らない)、やはり値段が高い

一時帰国前に、小さな瓶入りの七味唐辛子を3ユーロ(約360円)で買ったところだったけれど、同じものが日本のスーパーで100円で売られていた…ちょっとショック

かつお節ふりかけ緑茶など、軽くて割と日持ちするものは、スーツケースの隙間に詰めて色々と持って帰るようにしている。少し重くなるが、お好み焼きソースや日本のマヨネーズも、ドイツで買うより格段に安い。

その他、特定のメーカーのお菓子や、美味しい和菓子などはドイツで入手するのがやはり難しい。今はドイツでも抹茶が流行っているので、抹茶を使ったお菓子をお土産にすると喜ばれること間違いなし。

お土産といえば今回、「ドイツで1年半探したけど見つからなかったんだ!」と喜ばれた意外なものがある。それは小さな3穴のあるマヨネーズケース

私の料理好きな友人2人は、日本へ旅行した時に、マヨネーズが綺麗なデコレーションになることに感激したらしい。ドイツのマヨネーズは瓶に入っているものが多く、スプーンですくって使うか、プラスチックのチューブ入りでも大きめの穴が1つあるだけ。日本のお好み焼きやたこ焼きにかかっているような、繊細な線を描くことはできない。

小さな3穴のあるボトル型ケース
某100円均一ショップで2つ購入

スーパーでの失敗談

日本のスーパーといえば、前回の一時帰国中、私はちょっと恥ずかしい思いをした。

レジで会計をお願いした時、担当者がバーコードを読み込んで、会計済みの黄色いカゴに商品を移していくそばから、自分のバッグに次々と商品を詰めていったのだ。レジの人が不思議そうな顔をしているのでハッとしたのだが、日本のスーパーではレジの先にテーブルがあり、そこで落ち着いて荷物を詰められることをすっかり忘れていた。

ドイツでは、自分で商品をレジ前の動くベルトに順々にのせ、レジの人がバーコードを読み込んだ商品を、会計と並行しながら自分のバッグ又はカートに詰めていく形式である。会計済み商品を一時的に入れてくれるカゴはない。その場でモタモタしていると並んでいる人に悪いので、なるべく効率よく荷物を詰められるよう、重く大きいものからベルトにのせていく工夫が必要である。

日本でレジ袋が有料化されるはるか前から、ドイツではプラスチック袋や紙袋が有料であり、マイバックを持って買い物にいくのがスタンダードだった。忘れた場合には、レジの下に置いてある袋を自分でベルトにのせて、会計に含めてもらう。

また、日本のスーパーに行くと、レジの人が立って接客していることに驚く。ドイツではみんな椅子に座っていて、水やジュースを飲みながら、片手でホイホイと商品のバーコードを読み込んで作業する姿が普通である(たいてい不愛想で、接客というより本当に作業)。

アイディア豊かな商品

閑話休題。

上記のマヨネーズケースもそうだが、ファッション・生活用品・食料品をとっても、日本の品揃えは素晴らしく、久しぶりに帰ると「こんなものまで売ってる!」と商品開発のアイディアの豊かさに驚かされる。

例えば、季節を問わず必需品となったマスク。私が日本に住んでいた頃は、色は白か、あっても水色で、使い捨てが主流だった。重要なのは機能であり、見た目ではなかったのである。それが今や、ファッション小物として売り出され、様々な色や柄、形、素材を選ぶことができる。

そこから派生した商品では、抗菌加工されたマスクケースや、耳が痛くならないように、マスクのゴムを後ろから挟んで留めるヘアアクセサリーなど、ドイツでは見たこともないものがたくさん。

薄い紙でできた使い捨てのマスクケース
地元のカフェで、ウェイターさんに「どうぞ」と手渡されて驚いたのがこちら。ドイツでは考えられないサービス

ヘアアクセサリーといえば、今回の一時帰国で見つけて感動した『アイディア商品』が、ポニーフックである。普通のヘアゴムで髪を束ねた後、根元に差し込むように引っ掛けると、結び目をおしゃれに隠してくれる。

可愛い飾りがついたヘアゴムを買っても、ゴム部分は劣化して切れたり伸びたりするし、新しいゴムに付け替えようとしてもうまくいかないことが多い。そんな悩みを解決してくれるのがポニーフック。ヘアゴムから独立しているので、安心して繰り返し使うことができる。こんな商品ほしかった!と幾つか購入して帰った。

パールやシェルを使ったヘアアクセサリー3つ
手前2つがポニーフック。奥はマジェステというヘアアクセサリーで、ポニーフックと似ているが、かんざしのようになっている

日本でまとめ買いするもの

私が一時帰国すると必ず買い込むものの一つは、基礎化粧品

もちろんドイツにも様々な化粧品メーカーがあり、環境意識も高いので、オーガニックの製品も豊富である。その土地の水や空気に合った、その土地の化粧品を使った方がよいという考え方もあるだろう。しかし私個人は、やはり日本の化粧水などの方が肌に合う気がしている。

買い物リストで絶対に欠かせないのは洗顔料。というのもドイツでは、日本のような洗顔料が一般的ではない。スキンケアのメーカーが顔にも使える石鹸を出していたり、女性用のメイク落としが洗顔料も兼ねていたり、頭から足まで使える一つ三役(シャンプー・ボディーソープ・洗顔料)のクリームソープを使っている男性も多いが、しっとりさっぱり洗える顔専用のフォームはなぜか見かけない。イギリスに住んでいた時も同じ問題にぶつかったので、ここまで洗顔料にこだわりがあるのは日本くらいなのかもしれない。

私はアイシャドウやマスカラも日本のものを使い慣れているので、一時帰国ではメイク用品もまとめ買いしている。

また、日本に帰るとタイツやストッキングを買い溜めする、という日本人女性の話をよく聞く。私もその一人であり、やはり日本の繊維産業は偉大だなとその度に思う。3足で千円くらいの安価なものでも、履き心地が良いし、そうそう伝線しない。ドイツで同じくらいの値段のものを買うと、運が悪いだけかもしれないが、1回か2回で穴が開くこともある。

海外在住者の助け合い

「近々日本に行きます」という話をすると、日本人や、日本に住んでいたことがあるドイツ人から、「スーツケースに余裕があったら買ってきてほしいものがあるんだけど」とよく注文を受ける。これに関しては持ちつ持たれつの関係で、私も誰かが一時帰国する際にはちょっとしたものをお願いすることがある。

どうしてもドイツで見つからなかったので、去年は友達に前髪専用カーラーを買ってきてもらいました。笑

今回の一時帰国に際して、周りの友人や同僚達から頼まれたものを書き出してみると…

歯ブラシ(ドイツのものはブラシ部分が大きい)、マスク(日本の方が素材の種類が豊富)、化粧水(資生堂などの商品はドイツでもあるが日本の方が安い)、フェイスパック(やはり日本のものが体に馴染むらしい)、目薬(左に同じ)、葛根湯(ドイツで見つけるのが難しい)、総合風邪薬(ドイツでは頭痛や鼻水などある症状に特化した薬が多い)、外国語としての日本語の教科書(ドイツよりも安い)、和菓子(これは日本で買うのが一番!)

など、なかなか雑多である。何人かは私の実家宛に自分でオンライン注文してくれ、その他は私が探して購入した。今までには、ボールペンのリフィルポン酢梅干しを頼まれることもあった。

免税もできる

最後に、あまり知られていないが、一時帰国中の海外在住者ならではの特権もある。外国人観光客と同じく、免税で買い物できることだ。

今回の一時帰国で唯一の大きな買い物は、眼鏡!税込6万円くらいだったので、そこから10%免除されるのは大きい

免税というと、空港でカウンターに並んで手続きするという面倒なイメージがあるが、実は日本での免税は非常に簡単。多くの場合はレジでパスポートを提示すると、その場で書類を作成し、免税価格で販売してくれる。百貨店などでは、一度レジで税込み価格を支払ってから、サービスカウンターにて現金で返金してくれる場合もある。

出国する空港では、税関でパスポートに貼られた書類を回収してもらい、求められれば免税購入品を提示するだけなので、数十秒~数分でOK。

免税制度の詳細は以下のHPを参照
観光庁

近年、免税対象となる最低金額が消耗品・一般物品ともに税抜5千円になったのと(以前は一般物品は1万円だった)、百貨店などでは複数のテナントでの買い物を合算できることもあるので、ますます制度を利用しやすくなった。

私は免税で買い物する度に、自分が日本という国の枠外にいるのだなと実感し、日本人と外国人の中間に位置しているような、不思議な気分になる。

しばらくしたら一時帰国するとわかっている時は、日本でまとめ買いするものや、免税制度を利用して購入したいものをリストアップするのが恒例になっている。

日本考察
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