ドイツ妊娠生活記①:バレエも旅行も

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ドイツの妊娠・出産事情

前回の記事では、妊娠中に訪れた日本で気付いたことをご紹介した。その後の2026年3月、ベルリンで無事に女の子を出産した。

力が入り交差している、皺の多い小さな足
生まれた日に撮った足

今回からは、ドイツでの妊娠・出産に関心がある方向けに、印象に残っていることを書き記しておきたい。私は日本での経験がないので、実体験から日独比較をすることは難しいのだが、日本の話を聞く限りドイツとはだいぶ異なる部分もあると思う。

共通点と呼べるのは、ドイツでも晩婚化が進み、35歳以上のいわゆる高齢出産が一般的になってきていること。20代で結婚・出産した人がいると、「早いね」と少し驚かれる時代になった。

私自身も女性として痛感するが、20代で就職し、ある適度キャリアを積みたいと思ったら、すぐに休職するのはかなり勇気がいるし、リスクもある。私の周りのドイツ人女性も、高等教育を受けてから20代半ば~後半で就職した人が多い。30代に入ってから結婚(事実婚含む)や子どもについて考え出す人がほとんどで、30代半ば~後半が出産ブームである。

私が妊娠したのは36歳の終わり頃で、出産は37歳。産婦人科でもらう母子手帳(ドイツ語ではMutterpass:母親手帳という)には、問診で記入されるリスク要素(アレルギー、家族の病歴など)の一覧があるが、私の場合は花粉症の他に唯一チェックされたのが、「35歳以上」という項目だった。ドイツでは日本のように高齢出産という表現が定着しているわけではないが、やはり一定のリスクとして認められている。

自由な妊娠生活?

初めての妊娠でわからないことが多く、何か疑問に思ったことがあると、インターネットで色々と調べてみる日々が続いた。日本語で検索したりドイツ語で検索したりしていたが、日本のページでは体重管理について細かく書かれていたり、激しい運動は避けることが推奨されていたり、ドイツよりも厳しいなと思うことが度々あった。

ドイツの産婦人科では、体重の増加について何か言われることもなければ、スポーツを禁止されることもなかった。週3回バレエに通っていた私は、問題がないか一応聞いてみたが、「バレエ、いいですね。かなり最後の方まで続けられると思いますよ。ただ妊娠中は関節が緩くなるので、ジャンプするとき着地に気を付けてくださいね」と言われただけ。

実際、私のバレエの先生も数年前に出産したが、大きいおなかでぎりぎりまでレッスンしてくれていたし、妊娠中のバレエ仲間も出産間際まで来ている人が多い。

あるドイツ人の仲間は昨年、予定帝王切開で出産したが、その直前まで普通にレッスンに来ていた。臨月の大きいおなかでよくピルエット(片足のつま先で立って行う回転)綺麗にできるね、と周りから感心されていたが、「重心が前にいくからかえって回りやすいよ」とのこと。

ピルエットは、体が後ろに反ってしまうことで重心を崩すという失敗が多いので、目から鱗のコメント

私も破水する前日まで元気にスタジオに通い、バーレッスンと、ジャンプ以外のセンターレッスンはすべて参加していた。24週目(7ヶ月目)には発表会にも出て、トゥシューズはこれでひとまず履き納めに。

衣裳を着て扇子を持ちポーズを取っている女性数人
くるみ割り人形より『スペインの踊り』。ゴムで調整できるスカートだったのでちょうどよかった

その他、ドイツの産婦人科では、生肉生魚ナチュラルチーズなど、食べない方がよいものは言われたが、食べた方がよいものについては特に何も言われず、食べたいものを食べればよい、というスタンスだった。

私がつわりで気持ちが悪いことを伝えると、錠剤も処方してくれた。ドイツでは健康保険料が高い代わりに、通院は基本的に自己負担なし処方薬を薬局で受け取る場合にも、自己負担額は最大10ユーロである。

更に、妊娠中に必要な薬については自己負担なしとされている。つわりを軽くする錠剤も、つわりが良くなってから処方されるようになった鉄分の錠剤も、0ユーロで受け取ることができた。

長距離フライトに備えて

ドイツの産婦人科で処方されたものといえば、錠剤以外にもう一つある。

私は妊娠5カ月でニューヨーク、7カ月で日本まで飛行機で移動した。掛かりつけの産婦人科医に相談したところ、「体調がよければ長距離フライトも問題ない」とのことだったが、エコノミー症候群対策として、着圧タイツ着圧ソックスを着用するよう勧められた。

それを福祉用具専門店(Sanitätshaus)で入手するのが異様に大変だったという苦労話をここで一つ。

ドイツでもペーパーレスが進み、健康保険カード上に処方箋が保存されて、薬局で処方薬を受け取れるようになりました。でも福祉用具専門店はまだシステム変更の過渡期ということで、紙の処方箋しか受け付けてくれないところがほとんど…私もまた産婦人科まで紙をもらいに行く羽目に

私は必要な時期が冬だったので、診察時に産婦人科医が処方すると言ってくれていたのは、おなかまでカバーされる着圧タイツだった。

しかし、受付で紙の処方箋が必要だと伝えると、「タイツか、太ももまでの長さか、どちらがいいですか」と聞かれた。どちらの方がいいか咄嗟にわからず、正直に、「わからないのですが、どちらの方がいいでしょうか」と受付の女性に聞き返すと、

確かにあたたかいのはタイツですが、妊娠後期になってくると履くのが大変だから、太ももまでのタイプの方がお勧めですね

とのだったので、そちらをお願いし、処方箋にも長さが明記された。

出してもらった紙の処方箋を持って再び福祉用具専門店に行くと、足の大きさの他に脚の太さや長さなどを色々と機械で測定され、ぴったりのサイズを探してくれた。履いたことがある人はご存知だと思うが、厚手のかたい生地をすこしずつ手繰り寄せるように履くのでコツが必要で、私は履き方も散々指導された。

ところが、サイズ合わせが終わる間際になって、「長距離フライトに乗る予定が近々あって、そのためなんです」と何気なく話すと、担当してくれていた年配の女性がぴたりと動きを止めた。

だったら膝下丈の一択ですよ!どうして産婦人科の多くが、タイツとか太ももまでのタイプを勧めるのか、理解できませんね。着圧ソックスは生地が厚いから、膝下までの丈じゃないと、膝を曲げて座っているのが大変で、長距離フライトには向かないですよ。それに、むくみやすくて圧力を掛けて血流を促さないといけないのは、基本的にふくらはぎだから、膝下までで十分です

という。でも処方箋は太ももまでのタイプで出してもらったのでどうしよう…と思っていると、「妊娠中は、着圧ソックスやタイツの処方箋、洗い替えも入れて2足まで出してもらえますよ」ということで、私はまたしても産婦人科まで行き、膝下丈ソックスの処方箋をもらうことに。

この医療用の着圧タイツや着圧ソックス、普通に購入しようとすると50~100ユーロもする高級品なのだが、妊娠中は処方箋があれば自己負担なし。

ふくらはぎ丈の着圧ソックスの箱と、膝丈の着圧ソックス
私はベーシックな色ではなくて黒を希望したので、一足5ユーロだけ追加料金を払った

実際に膝下丈の着圧ソックスを履いて長距離フライトに乗ってみた感想は、確かに脚と足のむくみが軽減された気がして楽だった。ドイツ製の製品は定評があるようだ。生地が厚いのであたたかすぎるかとも思ったが、飛行機の中は足元が冷えることが多いので、ちょうどよかった。

ドイツで着圧ソックスの入手を考えている方がいたら、早めに動き出すことをお勧めしたい。というのも、ぴったりのサイズが在庫にないと取り寄せてもらうことになり、また数日~1週間後に受け取りに行かないといけないからである。

私は何度も産婦人科に処方箋を受け取りに行ったり、在庫になかったサイズを取り寄せたりしてもらったりしたので、1週間以上かかってしまい、入手できたのはぎりぎりフライト前日になってしまった。

なんでも予想外に時間が掛かるのはドイツではよくあることですが…。ドイツでの妊娠生活の話、まだまだ続きます

ドイツ考察
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