アイスランドに行くはずが、日本に帰った話② ー 検疫体験談

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久々の日本へ

その①で記した経緯により、急に日本へ帰ることになった9月。修士論文、就職、コロナと、長期休暇を取るタイミングを逃しているうちに、前回の一時帰国から2年半も経ってしまった。私にとってはそれだけでも特別だったが、今回は新型コロナウイルスの影響で、渡航自体が今までにない経験となった。

まず、クリスマス時期に予約してあったフライトを前倒ししたのは、出発の前の週だった。ドイツの大手航空会社・ルフトハンザの便で、本来は変更手数料が必要なのだが、コロナで先の予定が立たない現在は無料で可能となっている(新しい便が元々の便よりも高ければ差額は支払う)。減便されているため時間帯の選択肢はあまりなかったが、直前でも週末の便に変更できたので、利用者が少ないことは明らかだった。

首都なのに…と意外に思われるかもしれないが、実はベルリン〜日本は直行便がない。フランクフルトやミュンヘンなど、ドイツ内の他の空港で乗り換えるか、他の国を経由することになる。あまり遠回りにならず値段も高くないので人気があるのは、フィンランドのヘルシンキ経由である。しかし、基本的に乗り換えには入国規制が適用されないとはいえ、第三国を介することは避けた方が無難な気がしたので、私はフランクフルト経由のベルリン・テーゲル〜東京・羽田を予約した。

マスクをし、間隔を開けて座る乗客達
テーゲル空港のゲートにて。全員マスク着用

テーゲル空港はそもそも小さいのだが、一部のショップは閉まっており、全体的に人が少なかった。ところで、新しいベルリン・ブランデンブルク国際空港が開港した後、テーゲル空港は2020年11月初めに閉鎖される予定なので、私がここを利用するのは今回が最後になるはずである。

快適なフライト

チェックインして渡された搭乗券には、自分の座席の他に『グループ』が記載されていた。ボーディング時に人が殺到するのを避けるため、グループ1〜4に座席が分かれており、順々にアナウンスで呼ばれる仕組みである。私はグループ4だったので、最後までゲートの椅子に座って待っていた。見回してみると、やはり観光客が少ない影響か、ほぼドイツ人で、アジア人は私だけだったように思う。ノートパソコンで仕事を続けるビジネスマンの姿も見られた。

ベルリン〜フランクフルトの国内線は満席だった。減便しているため、残された便に乗客が集中するのだろう。機内は満席とはいえ、全員マスク着用で、会話をする人もいないので静かである。あっという間に、1時間ほどでフランクフルト空港に到着。その間に機内で配られたものは、手などを消毒するためのウェットティッシュと、ペットボトル入りの水だけだった。

カフェの中心にあるゲーテ像と、その周りに座る利用客
フランクフルト空港内のカフェにて。文豪ゲーテもマスク姿

フランクフルトでの乗り換え時間は1時半。やたら広いのだが、学生時代からよく利用している空港なので迷わずに次の便のゲートに向かう。その途中にパスポートコントロールがあり、出国審査を受けるが、特に何も言われずに通された。

フランクフルト〜羽田はルフトハンザのパートナー、ANAの運航便である。出発1時間くらい前にゲートに着くと、まだほとんど誰もいない。ソーシャルディスタンスを確保するために、椅子には一つ飛ばしで「座らないでください」というテープが貼られている。

ほとんど誰も座っていない椅子が並び、窓の外にはANAの機体が見える
ガラガラのゲート

ボーディングの時間になっても、ゲートにはまばらにしか人が見当たらない。現在は基本的に日本国籍者と、一部の在留資格保持者しか日本に入国できないため、乗客はほぼ日本人のみ。ヨーロッパまで観光に来ている人は少ないだろうから、おそらく私のような長期の海外在留邦人が大半だろう。私の近くに座っていた日本人女性二人は、日本語の会話が時々ネイティブな発音のフランス語に切り替わり、フランスからフランクフルト経由で一時帰国するところのようだった。

またグループ1〜4に分かれてアナウンスがあり、手の消毒をするよう案内された後、順々に搭乗する。自分の席についてしばらくすると、「ボーディング完了」と機体のドアが閉められたが、首をのばして周りの様子を窺った私はちょっと衝撃を受けた。予想以上にガラガラだったのである。

私の席から前の座席を写すと、ポツポツと人の頭が見える
まばらにしか乗客がいない

おそらく1〜2割しか席が埋まっていなかった。私の列も座っているのは私だけである。満員の飛行機に慣れた身としては、最初はちょっと居心地悪く感じるくらい空いていた。普段なら前の席の下に置くバッグを、隣の席に置いていると、CAさんに「お荷物、そちらで結構なのですが、よろしければベルトを」と離陸前のチェックで言われたので、一人前に席を独占。

安全ベルトをされた、椅子の上の黒いショルダーバッグ
ちょっともったいないような図である

しかし、いくら乗客が少なくても、サービスはいつも通り期待の一歩先を行く素晴らしさ。コロナ対策としては、機内食はまず食事と飲み物の希望を聞かれ、個別にCAさんが奥から運んできてくれた。注文を取ってから提供されるとは、レストランのようである。全ての食べ物が袋に入っているか、容器に蓋が付いていた。

食事の後は、座席のアームレストを上げ、3席分にごろんと横になって寝るという贅沢を初体験。機内は誰も喋っていないので、しーんと静かである。こんな少人数の乗客のために、消毒などいつもより手間を掛けて運航しているとは、航空会社が気の毒になりつつ、私にとっては今までで一番快適な空の旅だった。

数年ぶりに長距離線に乗りましたが、窓の色をボタンで変えられたり、トイレにウォッシュレットが付いていたり、機体の進化にもびっくり!歌舞伎をテーマにした機内安全ビデオも楽しい

到着時の検疫

映画を観たりうとうとしたりしているうちに、11時間半ほどが経ち、飛行機は羽田空港に到着。現在は全員がコロナ検査を受けることになっているため、機体を降りると、そのまま歩いて空港内の検査場へ向かう。

既に機内で配られ記入済みの質問票などを手に、順路を辿っていく。写真撮影は禁止だったが、流れは以下のようになっていた。

Step 1〜4までの流れが書かれた地図
質問票と一緒に渡された説明

9月現在、羽田空港で行っているのは、唾液を使った抗原検査である。まずStep 1で、書類に記入漏れがないかチェックされ、Step 2で、番号が付いたプラスチックの試験管のような容器と、円錐型の小さなロートを受け取る。投票所のように、広い部屋の中にパーテーションで仕切られたスペースがいくつもあり、渡航者は一人ずつ空いたスペースに入って、目印のところまで試験管に唾液を入れて蓋をする。使用済みのロートは足元のゴミ箱に捨てる。

試験管に入れなければならない唾液は少量なのだが、確かに出そうと思ってすぐに出すのは難しい。検疫所も工夫の必要があると考えたのだろう、個別スペースの正面の壁にはある写真が貼られていたのだが、それはレモンと梅干し

確かに和食を食べ慣れている人は、梅干しをイメージするとすぐにツバが出ますね…笑

試験管を提出した後、Step 3の部屋で書類のチェックがあり、滞在していた国の確認などをされる。そしてStep 4の広い待合スペースで待つこと30分、自分の番号がアナウンスで呼ばれ、カウンターまで行くと「陰性でした」と結果を通知された。

現在は、全員が結果判明を待ってから入国することになっている。私が到着した時は他に国際線がなかったようで、検査を受けるのも結果が出るのも早かったが、混み合っている場合でも2〜3時間で結果がわかるようである。当初のPCR検査は数日必要だったことを考えると、大幅に短縮された。

陰性だったことにほっとしつつ、Step 4のスペースを出て入国審査に向かう前に、その後の移動手段をもう一度確認された。14日間の自主待機を行う自宅やホテル等への移動は、公共交通機関(国内線を含む)を利用してはいけないので、車での移動か、検疫所の巡回バスを利用することになる。

私は実家が東京なので簡単でしたが、国際線が到着する空港から遠く離れた場所に住んでいる人は大変。空港近くのホテルなどに2週間滞在するしかないかも

到着から検査結果がわかるまで、1時間強と非常にスムーズだった。検疫手続きにはどの部屋にも10人以上のスタッフが待機しており、私が着いた時のように検査を受ける人が少ないと、手持ち無沙汰なように見えた。

さて、その後の入国審査も、自動化ゲートで待つことなく通過。そして荷物の受け取りに向かうと、なんと既に荷物が一人ずつカートにまとめて積まれ、プリントアウトされた便名と氏名が貼られて、ターンテーブルの横に並べられていた。

二つのスーツケースが積まれたカート
しかもANAのスタッフさんからのお手紙付き。「あぁ日本に帰ってきた」と実感する素晴らしいサービス

というわけで、荷物が出てくるまで待つ必要もなく、すぐに税関を通り、到着口へ。車で迎えに来てくれていた両親と合流した。

自宅待機へ

日本国籍者であっても、入国した次の日から起算して14日間は、自宅・ホテル等で待機し、不要不急の外出を控えることになっている。やむを得ず外出する場合には、マスクを着用し、公共交通機関は利用しない。

その待機期間中は、厚生労働省ないし保健所から、電話・メールで毎日の健康状態の確認がされるが、これはLINEでも可能になっている。厚生労働省の公式アカウントを友達登録すると、アンケートに回答できるようになるので、チャットでポチポチと「異常なし」と回答するだけで良い。私は現在帰国して7日目だが、毎日LINEで回答しており、なぜか一度だけ追加で自動電話も掛かってきた。

久しぶりの一時帰国、自由に出歩けないのは残念ですが、実家で過ごす良い機会だと思ってゆっくりします

コメント

  1. Joe より:

    はじめまして。少し前からブログを読ませていただいています。

    私は8月中旬にハイデルベルクから一時帰国し、先週ドイツに戻ってきました。
    ここに書かれている事はまさに、自分が体験した事そのままといった感じです。
    (帰国者を空港から自宅に送ってくれる民間サービスを見つけましたが、非常に高額でした。)

    私もANAのサービスに、日本を強く感じました。
    機内サービスはもちろん、何と言っても荷物に添えられたメッセージカードです。
    あの心遣いはすごいと思いました。もうANAのファンです。
    復路のルフトハンザ便とは両極端というほど違い、日本らしさを知るにはいい機会でした。

    久しぶりの一時帰国とのこと、リフレッシュになると良いですね。

    優しくて知性あふれる記事内容のファンです。
    今後のポストも楽しみにしています。

    • Aki Aki より:

      Joeさん、初めまして。コメントいただけて嬉しいです!

      一時帰国で同じ経験をされたのですね。空港の検疫自体はスムーズでしたが、その後の移動が大変ですよね。
      ドイツの雑な接客に慣れていたので、私も久しぶりにANAのサービスを受けて感激しました。機内でもCAさん達が乗客の様子をよく見ていて、こちらがお願いするより先に、何か聞いてくれたり持ってきてくれたりする姿勢が素晴らしかったです。

      8月中旬の日本は今より更に暑さが厳しかったと思いますが、今のドイツは朝晩は寒いくらいでしょうから、体調にお気をつけください。
      ハイデルベルク、ベルリンに越してからなかなか行けなくなってしまいましたが、紅葉の時期は本当に綺麗ですよね。

      いつもブログを読んでくださってありがとうございます。時々しか更新できなくなってしまい、続けようか悩んだこともあったのですが、こんな嬉しいお言葉をいただけると、のんびりとでも続ける励みになります!

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