ヘアドネーションのすすめ

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新しい寄付のかたち

外国に居住していると、時々日本に帰っても、なかなか献血をできない。「海外旅行者および海外で生活した人は、帰国日から4週間以内は献血をできない」と日本赤十字社が定めており、4週間以上まとめて日本にいることは滅多にないからだ。

しかし、私がドイツへ引っ越した後も、日本の団体に2回寄付したものがある。それは、髪の毛。えっ、と思われる方もいるかもしれないが、ヨーロッパでは比較的知られた慈善活動の一環である。

私がやりたいと思ったのも、フランス在住の日本人の友人がしていたのがきっかけです

髪を切るのは、献血と違って全く痛みもないし、渡航歴や体調にも左右されない。もっとヘアドネーションが広がってほしい、という思いで、この記事を書くことにした。

ヘアドネーションとは?

小児ガン等の治療や外傷、脱毛症など、何らかの事情で頭髪に悩みを抱える子ども達に、寄付された髪で作ったメディカル・ウィッグを無償提供するのが、ヘアドネーション。現代の技術をもってしても、人間の髪と同じような質感を人工的に再現するのは難しく、人毛100%のウィッグは購入しようとすると数十万円するという。

病気や怪我自体に加えて、「髪を失う」ことが、子ども達の社会生活にどんなに大きな影響を及ぼすかは、想像に難くない。学校に通って勉強したり、同年代の子どもと遊んだりという、成長に必要不可欠な“当たり前のこと”が、髪がないという悩み・恥ずかしさのために著しく難しくなる場合もある。ヘアドネーションは、ごく自然に見えるウィッグを提供することで、子ども達の『社会性の回復』と前向きな未来をサポートすることを目的にしている。

日本でも徐々に浸透してきた活動で、いくつかの慈善団体が活動しているが、私が髪を寄付したのはこちらのNPO。

Japan Hair Donation & Charity(ジャーダック,JHD&C)|ヘアドネーションを通じた社会貢献活動
Japan Hair Donation & Charity(通称:JHD&C,ジャーダック)は、寄付された髪だけで作ったメディカル・ウィッグを頭髪に悩みを抱える18歳以下の子どもたちに完全無償提供している日本で唯一のNPO法人です。

実際に寄付した体験談

上記のNPOでは、メディカル・ウィッグに使用できる毛髪の長さを、31㎝以上と規定している。腰に掛かるくらいのロングヘアで、私はボブからこの長さになるまでに3年くらい掛かる。

背中の半ばくらいまであるロングヘア
ドネーションする少し前の写真

31㎝未満の長さでも寄付は可能で、シャンプーなどの開発に不可欠な「評価毛」や、美容師さんが練習で使うカットマネキンの素材として転売し、ウィッグ製作費の一部になるという。

寄付の仕方はいたって簡単で、髪を小さい束に分けてゴムで強めに結び、カットして、質問表と一緒に慈善団体に郵送するだけ。

ジップ付きの袋に入った長い毛束と、質問表と封筒
私は元々髪の量が多いので、ずっしりと重い毛束

一時帰国中に美容院でバッサリと切ってもらい、NPOに郵送したこともあるが、前回はベルリンの美容院でカットした。ヘアドネーションに慣れている美容院で、

毛束を持ち帰って自分で送らなくても、直接こちらから慈善団体に送っておきますよ

と言ってもらったのだが、せっかくなのでドイツより日本の団体に寄付したいと思い、結局持ち帰って、日本に一時帰国する友人に託した(ドイツから日本まで郵送しても良かったのだが、ドイツの郵便事情はあまり信用ならず、荷物が行方不明になることが度々ある)。

ドイツより日本の方が簡単

感覚的に、ドイツの方が日本よりもヘアドネーションの浸透率は高いと思うが、実は寄付のハードルが低いのは日本である。

ドイツで活動している複数の慈善団体のHPを見比べてみると、受け付けている長さは最短20〜30㎝となっているものの、「化学処理を施している髪はNG」、もしくは歓迎されないと書かれている。つまり、カラーやパーマをしていない無垢な髪である必要がある。白髪の割合が高いと不可、と明記されているところも。

一方、上記の日本のNPOでは、「カラー、パーマ、ブリーチヘアでもOK」「年齢や国籍、性別、髪色、髪質は問わず、クセ毛や白髪でも問題なく使用できます」とある。寄付された様々な髪をウィッグに加工する前の、トリートメント処理や染毛技術が進んでいるのである。素晴らしい!

以前、韓国人の友人も、「私もヘアドネーションしたいと思ったことがあるけど、韓国だとカラーやパーマをした髪はNGで」と言っていたので、ドイツと同じ状況のようだ。

余談:女性が髪を切る意味

髪はいつかは切らないといけないものだし、痛いものでもない。腰までのばすのは確かに大変だけれど、大事にしてきた髪が、子どもの未来のために役立つのなら、単にお金を寄付するよりもずっと意義があり、心のこもった慈善活動だと思う。

特にロングヘアの男性が少ない日本では、ほぼ全員のドナーが女性に違いないが、「バッサリ髪を切ったら、周りからなんて言われるだろう…」という心配をする人もいるかもしれない。

少しパーマがかかったボブスタイル
数ヶ月前にドネーションし、ロングから一気にボブに。ちょうどこの翌月に転職が決まった

日本だと、なぜか「バッサリ髪を切る=失恋した」というイメージが定着しているが、ドイツでもそうなのかなと思い、周りのドイツ人達に聞いてみた。すると、必ずしも失恋というわけではないけれど、

やっぱり、「何かを変えたい!」と思ったとき、というのはあるよね。髪型をすっかり変えるのって、大きな変化だから

とのこと。

髪が長い方、これから長くのばしたいと思っている方、バッサリ切る際には、ぜひ捨てずにヘアドネーションを!印象もがらっと変わり、生活にも新しい良い風が吹いてくるかもしれない。

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