ドイツでの交友関係 ー 友達の友達は友達?

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友達のお姉さんの彼氏のおばあちゃん

私が初めてドイツに長期滞在したのは、日本の大学を1年間休学して、ドイツ南西部のハイデルベルクに留学した10年前。しかし日本からではなかなか住む場所が見つからなくて苦労した。結局、10月の学期始まりに間に合うよう9月にドイツへ渡り、最初は友人Cの家に泊めてもらっていた。その家はドイツ北西部にあるのだが、まだドイツ語で電話する自信がなかった私に代わり、Cのお母さんがハイデルベルク大学と電話で話を付けてくれて、学生寮の1室を借りられることになった。

Cは私が15歳のときにイギリスの公立高校で知り合った、一番最初のドイツ人の友達であり、やがて私がドイツ語を学び始め、ドイツで暮らすという現在に至るきっかけになった人(私と同い年ながら、数年前に神経心理学で博士号を取得した超秀才である)。

さて、無事にハイデルベルクでの生活をスタートできると思いきや、ここで問題が発覚。学生寮の鍵を受け取れる日が、私がドイツ語の試験を受けるためにハイデルベルク大学へ行かなければいけない日よりも、何日か後だったのだ。

仕方ないから最初はユースホステルにでも泊まろうかな…

そう考えた私に、Cの家族みんなが「ちょうどいい人がいる」と言った。「Cのお姉ちゃんの彼氏のおばあちゃんがハイデルベルク近くに住んでいるから、泊めてもらえばいいよ!」

いや…それは…もはや他人…!!

Cは3人姉妹の末っ子なのだが、真ん中のお姉さんであるMの彼氏(現在は結婚して旦那さん)のおばあちゃんがハイデルベルク近郊で一人で暮らしているのだという。もちろん私は会ったことはない。それでも話は瞬く間にまとまり、Mとその彼氏と更にその妹さんが車で3時間ほど掛けて、Cのお母さんが貸してくれた1年分の生活用品(食器やシーツ類)と一緒に、私をおばあちゃんの家まで送り届けてくれた。

そして私は、初対面のドイツ人のおばあちゃんの家で、何日間かを2人で過ごすことになった。私がドイツ語の語順を間違うと直してくれたり、これ以上簡単にはならないはずの私の名前をなかなか覚えられなかったようで「Taki」と呼ばれるので、「それじゃWasserfall(滝)ですよ」と内心ツッコんだりしたのも、今となっては良い思い出である。

学生寮の部屋
その後に入った学生寮の自分の部屋。ドイツ人学生の同居人が3人いて、キッチンとバスルームは共用だった

友達の友達は友達

上記のハイデルベルク滞在のエピソードにも象徴されているが、ドイツでは、『友達の友達(親戚)は友達』という感覚が強いと思う。私はドイツ国内をくまなく旅してきたが、ホテルを取ったことがあまりない。というのも、「今度あの街に行きたいんだ」という話を周りの友達にしていると、「私の友達(親戚)が住んでいるから、泊まれるか聞いてみてあげる」と言われることが多いから。例え初対面であっても、友達の友達であれば変な人ではないだろう、という安心感は確かにお互いにある。ドイツの家やアパートは日本と比べて大きく、ゲスト用のベッドがあることが多いのも、誰かを泊めてあげられやすい理由だろう。

友達のホームパーティーに誘われる時も、「誰でも友達を一緒に連れてきてね」とよく言われる。そうやって交友関係が広がっていき、場合によってはカップルができたという話も時々聞く。

一方で、この感覚に驚かされることもしばしば。ある友達と会う予定で、待ち合わせ場所に行くと、知らない人が一緒にいることがあるからだ。

私の友達!さっきバッタリ会ったから連れてきたよ

私も基本的に新しい人と知り合うのは嬉しいのだが、友達と2人でゆっくり話したいと思っていた時や、あげようと思って持ってきたお菓子が1つしかない時など、少し戸惑うことも…。

ドイツ人は冷たい?

ドイツに来たばかりの日本人や外国人の友人から時々聞くのは、ドイツ人って冷たい、という話。これは本当だろうか?

結論から言うと、私はそうは思わない。もちろんドイツ人のタイプも千差万別なので、一概には言えないが、ドイツ人は一度心を許して仲良くなると、深く長く、家族ぐるみで付き合ってくれる。なぜ冷たいと思われがちなのかというと、愛想笑いという文化がなく、基本的にみんな真顔でいることも原因かもしれない。

「機嫌悪いのかな?」と思う相手とも話してみると、いたって普通で、笑うと急に優しい印象になったりする。こわい顔は元々だったんですね…(笑

ドイツ人は誠実さを美徳として大事にする人が多く、人間関係を築くのにも慎重なので、最初はバリアがあると感じるかもしれない。しかし逆に言えば、付き合いが表面的ではない。よくアメリカに滞在していた人から聞く話とは違い、ドイツ人が「今度うちに遊びにおいでよ」と言った時には、それは社交辞令ではなく、本当にそう思って誘ってくれていると考えてまず間違いない。

この記事の最初の話に戻るが、友達のお姉さんの彼氏のおばあちゃんの家を出て、学生寮の鍵を受け取りに大学へ行った時のこと。大荷物を抱えた私が心許なげに列に並んでいると、ドイツ人の女の子に声を掛けられた。

あなた、一人?大丈夫?

このAという教育学部の学生さんは、ギリシャ人留学生2人の付き添いでその場に来ていて、すぐに寮に行かないといけないという。それでも「これ、私の携帯番号。困ったことがあったらいつでも電話して!あなたの番号も教えてくれる?」とバタバタ連絡先を交換した。

まぁその時の気まぐれかなと思っていたら、次の日、本当にAから電話が掛かってきた

Aki、もう銀行口座は作った?家賃の引き落としに必要だよね。まだ作ってなかったら、私が手伝うよ!

それでAと約束をして、彼女が銀行まで付き添ってくれ、スムーズに銀行口座を開くことができた。結果的にこの女の子は、ハイデルベルク留学中を通して私の一番親しい友達になった。そして例のごとく『友達の友達は友達』ということで、彼女の友達みんなと知り合い、気がつけば私もドイツ人や外国人の友達に囲まれていたのだった。「ハイデルベルク、誰も知っている人がいないけど、友達できるかな…」という心配は、あっという間に杞憂にすぎなかったことがわかった。

このAとも、昔馴染みのCとその家族とも、私が日本に帰ったり、彼女たちが外国に引っ越したりと色々あったのだが、大陸をまたいで今でも交友関係が続き、会う機会を見つけては昔話に花を咲かせている。

大勢でクッキー作り
留学時代の1コマ。Aとその友人達と一緒に、クリスマス前の恒例行事であるクッキー作り

ドイツでのコネクション

ドイツで知り合う日本人たちでも述べたように、この『友達の友達は友達』という感覚は、ドイツ在住の日本人の間でも強いと思う。

人と人を繋いでいくネットワーキングは、交友関係が広がっていくだけではなく、仕事の上で役立つことも多々ある。ドイツはある意味で日本以上に学歴社会だが、職探し中など、同時にコネが物を言う場面も多いからだ。

ドイツ語では冗談混じりに”Vitamin B“(ビタミンB)と言うこともあります。B=BeziehungenやBekanntschaften、つまりコネクションという意味です

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