念願の旅
このブログを定期的に読んでくれている人は覚えてくれているかもしれないが、私は去年の夏にアイスランドへ行く予定だったところ、コロナに振り回された結果、日本へ一時帰国したのだった。
現地のキャンピングカーの予約などは、キャンセルではなく延期していたので、今年こそ決行することになった。友人は来られなくなったため、同居人のベルリーナー・Dとの二人旅である。二回目のワクチン接種が確実に終わるのを待って、日程は8月下旬からに変更した。
出発までに気になっていたのはやはりコロナ規制だが、ワクチン接種完了者に関しては入国後の隔離や検査義務がなく、必要なのは出発前の検査だけだったので比較的簡単だった。
アイスランドでは、日本ともドイツとも違う新鮮な印象をたくさん受けた。これから幾つかの記事にまとめたいと思うが、観光名所の紹介などはガイドブックを見てもらった方が良いので、むしろ個人的に印象に残ったテーマについて掘り下げて書いていきたい。
そもそもアイスランドって?
正直なところ日本人の多くからすると、「アイスランドってどこ?」という感じの、未知の国だと思う。ところがドイツ人には人気の旅先で、私の周りにも行ったことがある人が多く、誰もが口を揃えて「アイスランドは素晴らしい」と言う。
かく言う私も、アイスランドのイメージといえば、ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』のほか、映画『LIFE!/ライフ』やNetflix『ユーロビジョン歌合戦 ~ファイア・サーガ物語~』(アイスランドの描写はステレオタイプだが、娯楽映画としてよくできているのでお勧め)から得た偏ったものだった。ヨーロッパ大陸から遠く隔たった、自然が豊かで素朴な人々が住む国…。
北欧の島国アイスランドまでは、ベルリンから直行便で約3時間半の距離である。面積は北海道より少し大きいくらいで、人口はなんと約36万人のみ。
アイスランドの総人口、ベルリンの約10分の1…!
人々が何を求めてアイスランドへ旅するかというと、何より大自然である。山あり、谷あり、草原あり、海あり、フィヨルドあり、火山あり、温泉あり、溶岩地帯あり、氷河あり、湖あり、無数の滝あり…と、そう大きくない土地にあらゆる自然の姿をぎゅっと詰め込んだような国。運が良ければオーロラも見られるし、クジラやパフィン(ニシツノメドリ)の観察ツアーも人気だ。
面白かったのは、休暇後に職場へ戻ると、ドイツ人の同僚達からは「自然綺麗だったでしょ?天気どうだった?」と聞かれるのに、日本人からは「温泉入った?」とよく聞かれたこと…日本人の間でもアイスランドの温泉って注目されているのですね
私とDは2週間半キャンピングカーを借りて、首都レイキャビクから反時計回りに沿岸をぐるりと一周した。車で走っていると、まるで数分ごとに別の国に移ったかのように、景色がどんどん変わっていく。島国らしく風が強いので、空を見ていると雲が次々と流れていき、天気の変化も速い。
見たことがない色
テーマを絞った記事を書く前に、アイスランドという国のイメージを持ってもらうため、まず私が目にした風景をお見せしたいが、周遊中に撮った写真は600枚近く。とてもすべてを載せることはできないので、まずは色に感銘を受けて撮ったものを紹介したい。特に水の色の多彩さに驚かされる。
去年のことだが、日本人の外交官とアイスランドについて話していると、「僕も行きましたが、本当に綺麗ですよ。何がというと、色が…。見たことがない色がたくさんあるんです」と言われたのを何度も思い出した。以下の写真は特に加工していないので、私の目に映った色とごく近い。
自然の芸術作品
次に、自然が織り成した芸術作品とも言える、不思議な形を捉えた写真を紹介。
生きている自然
写真でもアイスランドの自然の美しさと多様さはある程度伝わるかもしれないが、その規模の大きさと躍動感は実際に目にしないとわからない。特に滝にはそれまでの概念を覆された。
日本で滝といえば、高い場所から流れる筋のような水を想像すると思うのだが、アイスランドの滝は違う。圧倒される量の水が水飛沫と轟音をあげながら、叩きつけるように流れ落ちる。
そのため、有名な大きな滝を見にいくと、雨が降っているわけではないのにずぶ濡れになる。レインジャケットとレインパンツが必須である。
最後になるが、自然のダイナミックさといえば、2021年3月から火山活動が続いている首都レイキャビク近くのFagradalsfjall。現在では観光名所の一つとなっており、日によってはオレンジ色のマグマが煮えたっているのを見ることができるという。
私達が訪れた日は、残念ながら火山は眠りに入っていたようで、流れて黒く固まった溶岩しか見られなかったのだが、それだけでもすごい迫力だった。
ちょうど良い温度の場所を見つけられればソーセージやマシュマロを焼ける、と旅の途中で知り合ったドイツ人から聞いていたので、私達もソーセージ(と念のためフライパン)を持っていったのだが、残念!
コメント
夏の旅、お疲れ様でした。
アイスランドの大自然の壮大さが写真からでも伝わってきました。直接観るともっと迫力があることでしょう。
ヴェルヌの『地底旅行』のご当地でしたか。私は映画で観ました。
自然が豊かですが、人が少ない感じに見受けられました。知らない国で不安になることはなかったのかなと妙なことが気になりました。また、日本も火山列島とか地震列島などと言われますが、アイスランドは地震・震災は如何なのでしょうか。
今頃になって前回ブログの話で恐縮しますが、独南西部の様子も興味深く拝見しました。
ハイデルベルクは、「アルト・ハイデルベルク」を昔アニメか何かで視た気がします。実際の街のことはよく知りませんでした。
また途中で出てきた、マウル・タッシェンは日本のTV番組で一瞬だけ紹介されていたのですが、じっくり写真で見られて善かったです。思ったよりも大きそうですね。その番組では”ドイツ風のギョーザ”と言ってましたが、味はまた違うのでしょうね。
中世の建物が残っていますが、おそらく保存にも努力されていることでしょう。
これも以前の話になって済みませんが、ドイツの周囲の方々で東京五輪・パラリンピックの印象は如何でしたでしょうか?ドイツ代表の活躍ももちろんありましたが、過去の大会ほどではなかった気がしました。コロナ禍の影響もあったのでしょう。
自国のことを讃えるのも変ですが、こういう感染症下でよく開催したという思いもあります。
日本はまだ日中は真夏日になるときがあります。朝晩は涼しいので気温差に慣れるのが大変です。
ベルリンも、もう涼しくなる頃でしょうか。ではまたいつか。
こんにちは、いつもコメントありがとうございます!
そう、アイスランドは人口が集中している首都以外、本当に人が見当たらないんですよ。
でも治安は良いし、基本的にどこでも英語が通じるし、不安になることはありませんでした(山奥で車がパンクしたらどうしようとは思っていましたが、幸いそれも起こらず…)。
火山が多く、地震も度々あるようですが、アイスランド人はいつも落ち着いているようです。
ドイツ南西部の名物マウルタッシェンは色々なサイズがあって、私が先日食べたものは特別大きかったのです。中身も色々で、肉や野菜やチーズなど、何でもあります。
確かに挽肉が入っているものは餃子に近いかもしれません。
東京五輪・パラリンピックの開催前は、私の友人知人では「このタイミングで開催国なんて、日本は気の毒だね」と同情してくれる人が多かったですが、ドイツメディアはかなり批判的でした。「人の命を危険に晒してまで開催する必要があるのか」と。
でも開催中やその後は、ポジティブな報道が多くなり、特に現地で取材していたジャーナリストはみんな「日本は最善を尽くしてよくやっている」と書いていました。日本人のボランティア精神の素晴らしさを讃える記事も多かったですよ。
ベルリンはもう朝晩はコートが必要になってきました。木々の葉っぱも色付いてきて、すっかり秋です。
日本はまだ暑いとのことですが、ご自愛ください!