ドイツ南西部のかわいい町巡り

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久々の国内旅行

ドイツでは半年以上続いたロックダウンが終わり、まだ制限はありながらも、徐々に生活が通常化してきた。特に6~8月はドイツ人にとって休暇シーズンであり、こぞって国内外の旅行に出かける。一時は州をまたいでの移動も難しかったが、夏までにワクチン接種や規制緩和が進み、国内であればまず問題なく移動できるようになったのは幸いだった。

私も7月下旬に休暇を取り、ドイツ南西部の大学街・ハイデルベルクを2年ぶりに訪れた。学生時代に計4年間住んでいたので、今でも地図なしで自由に歩ける場所だ。

ハイデルベルク駅に停まっている黄緑色の電車
ベルリン中央駅からハイデルベルク中央駅まで、格安の特急列車で約5時間

一週間の滞在の間に、ハイデルベルクを拠点として、近隣の小さな町も訪れた。ベルリンを見慣れた目には、そのこじんまりとした可愛らしさがひときわ新鮮に映る。

百聞は一見に如かずということで、今回の旅で撮った写真を中心に、その印象をお届けしたい。

ハイデルベルク

まずはドイツの中でも有数の観光地・ハイデルベルク。ネッカー川のほとりに広がる伝統的な街並みとハイデルベルク城だけではなく、ドイツ最古の大学があることでも有名で、街中には若者が溢れて活気がある。人口約16万人のうち、4万人近くが学生だというので驚きだ。

青空と緑の山の下に広がる旧市街
川の反対側、『哲学者の道』から眺めた旧市街

ベルリンから来てみると、ハイデルベルクがいかにコンパクトかに改めて気が付く。ベルリンも緑豊かであまり都会らしくはないが、地区ごとに中心となる通りや広場があり、反対の方角にある地区まで行こうとすると電車で1時間掛かることも珍しくない。

一方でハイデルベルクの中心地である旧市街は、端から端まで30分で歩けるくらいの大きさで、メイン通りは一本しかなく、ここにお店などが集中している。買い物するにしても友達と会うにしても、行先はたいてい旧市街となる。

ハイデルベルクに住んでいた頃は、旧市街を歩いていると誰かしら知り合いにバッタリ会いました

大学街として面白い点は、一つの大きなキャンパスがあるわけではないことだ。『大学広場』(Universitätsplatz)には大講堂のある大きな建物が建っているが、それ以外には街の至る所に学部が散らばっており、元々住居だったような古い建物に入っていることが多いので、入り口横の表示を見なければ大学関係の施設だということがわからない。

地下部分に正方形のタイルが敷かれ、白黒の丸い石が置かれている
最近いくつかの学科が集まってできたCentre for Asian and Transcultural Studiesの図書館はモダンで、入り口前は碁盤のようなデザイン

主専攻と副専攻で違う学部の科目を履修していると、授業の合間に忙しなく行ったり来たりすることになる。旧市街にあるのは主に人文学系の学部で、ネッカー川の反対側の地区に自然科学系の学部や医学部が位置しており、学食も両方に存在する。

平らな地形のベルリンから来るともう一つ気が付くことは、ハイデルベルクではどこにいても山が目に入ることである。

山の緑に囲まれた、部分的に破壊されたままの石造のお城
山の中腹にあるハイデルベルク城は、ドイツでも知られた観光名所の一つ

両側に青々とした山があり、その真ん中にネッカー川が流れ、オレンジ色の屋根の街並みが広がる風景は、色のコントラストも美しい。私もそうだが、日本人であれば、山のある風景にどこか懐かしさを覚える人も多いだろう。

石像が立つ石畳の広場、背景にはハイデルベルク城が見える
旧市街からハイデルベルク城を見上げる

今回の旅では時間に余裕があり、幸いお天気も良かったので、旧市街(ハイデルベルク城)側の山と、ネッカー側を挟んで反対側の山の両方にハイキングに出掛けた。

背が高く青々とした木々の中を歩く後ろ姿
お城の上の山頂まではケーブルカーに乗ればすぐなのだが、登山すると2時間くらい掛かった

反対側の山のコースは『哲学者の道』と呼ばれており、文豪ゲーテやアイヒェンドルフも散策したという。どちら側からの眺めも素晴らしい。

草の上に座って、雲が浮かぶ青空の下に広がる風景を眼下に眺めている人々
旧市街側の山頂、ケーニヒスシュトゥールからのネッカー川の眺め

ヴァインハイム

ハイデルベルクから日帰りで訪れたのは、近隣の町・ヴァインハイム。旧市街はすぐに徒歩でぐるりと回れてしまうコンパクトさだが、どの脇道を覗いても木組みの可愛らしい家が並んでいて、おとぎ話の国の中にいるよう。

木目の特徴的な建物が並んでいる
ギザギザとした屋根が特徴的な旧市庁舎

中心となるマーケット広場にはレストランとカフェが立ち並び、ビールを飲みながらランチを楽しむ人で溢れていた。私達もドイツ料理のお店で、この地方の名物であるマウルタッシェン(ラビオリのような郷土料理)を堪能。

大きなラビオリのような食べ物とサラダ
自家製の大きなマウルタッシェンの中身は、旬の味覚・アンズタケ

やはりヴァインハイムも山に囲まれており、その上にはヴィンデック城とヴァッヒェンブルク城という二つの城址が今でも残されている。

狭い街路から見える、山の上の古いお城
街からでも山の上にお城が見える

ハイキングもできるようだが、私は今回ドイツ人の友人の運転で連れてきてもらっていたので、車でヴィンデック城まで向かった。

門をくぐると、一角はカフェのようになっており、天気の良い日にここでケーキを食べたりビールを飲んだりするのはとても気持ち良さそうだ。

山頂にある石造の城跡
部分的に残っている城壁

更に塔の狭い螺旋階段をぐるぐる上っていくと、ヴァインハイムや近郊の街並みを一望することができる。

眼下に見えるオレンジ色の屋根の街並み
尖塔の四角い窓から見下ろしたヴァインハイム

ラーデンブルク

ハイデルベルクやヴァインハイムほど大きくなく、日本のガイドブックには載っていないと思うが、その歴史ある街並みをこの地域の人達にお勧めされるのがラーデンブルク。車であればヴァインハイムから15分ほどの距離である。

カラフルな建物と、ボルドー色のクラシックカー
メイン通りを歩いていると、クラシックカーを発見

一部は中世から残っているという市壁に取り囲まれた旧市街を散策するのは楽しい。マーケット広場にはカフェが幾つもあり、この日はテラス席が賑わっていた。

真ん中に背の高い像があり、周りに可愛い建物が並んだ広広場
木組の建物が可愛らしい

カール・ベンツが晩年を過ごしたことでも知られており、昔の工場が現在はミュージアムとなっているので、自動車好きの人にも訪れる価値があると思う。

細かい木の細工が施された家
小さな通りにもいかにも歴史のありそうな建物が並ぶ

ダイデスハイム

最後に紹介したいのが、人口3,700人ほどの更に小さな町、ダイデスハイム。ここまでに訪れた3つの町はバーデン=ヴュルテンベルク州にあるが、ダイデスハイムまではハイデルベルクから電車で1時半間ほど掛かり、ラインラント=プファルツ州に入る。

私も今回の旅で初めて足を延ばしたのだが、実はここ、知る人ぞ知るワインの町なのである。ドイツ南西部のワイン街道に位置し、町は見渡す限りの葡萄畑に囲まれている。

傾斜のある土地に、直線状に綺麗に並んだ葡萄の木
右を見ても左を見ても葡萄畑

日本ではワインと言えばフランスやイタリアをイメージする人が多いと思うが(逆にビールと言えばドイツ)、実はドイツでもワインの生産が盛んである。白ワインが主流だったが、現在は赤ワインも増えているという。ダイデスハイムの葡萄畑は、ほとんどが白ワイン用の品種・リースリングだそうだ。

お恥ずかしながら、私も同行人のベルリーナー・Dもワインに無知なのだが、この日の私達には素晴らしいガイドがいた。ハイデルベルク時代の日本人の友人で、現在はダイデスハイムの高級レストランに勤めているAさんである。ワインにも造詣が深く、街を歩きながらあれこれと説明してくれた。

石畳の道と歴史的な建物
これまたこじんまりとして可愛いマーケット広場

特に行先を決めずにぶらぶら歩いただけでも、次から次へとワイナリーが現れる。この小さな町に、ドイツでも指折りの有名ワイナリーが集まっているのだという。どれかワインをお土産に買いたいとAさんに相談したところ、有名ワイナリーのものはベルリンでも見つかるだろうからと、老夫婦がマイペースに経営している小さなワイナリーに連れて行ってくれた。

ワイナリーの素敵な中庭
素敵なワイナリーの中庭で、Aさんとベルリーナー・D。生産者から手渡しでワインを売ってもらうのは、私にとって初めての経験だった

Aさん曰く、ダイデスハイムに住んでいるのは、ワイン好きの裕福な年金生活者が多いのだという。確かに立ち並んでいるお店は高級なものが多い。ダイデスハイムに住むことは一つのステータス、と言う人もいるそうだ。

歴史的に興味深いのは、東西統一の立役者であるヘルムット・コール元首相がこの地域の出身で、ダイデスハイムの5つ星ホテルDeidesheimer Hofのレストランに何度も各国首脳を招いてもてなしたことである。ゴルバチョフソ連元大統領やサッチャー英国元首相など、歴史的超重要人物たちの心を、美味しいワインとプファルツの郷土料理(ザウマーゲンという、豚の胃袋に肉やジャガイモを詰めた料理が有名)で解きほぐしたそうだ。

私達は料理も上手なAさんの提案により、手作りの料理とお勧めのワインを持って、葡萄畑に囲まれた小高い場所のテーブル付きベンチでピクニックをすることになった。

チェック柄のテーブルクロスの上に並んだ食べ物と飲み物
ご馳走とAさんが選んでくれたワイン

この日は真夏の太陽が照り付けていて、暑い中で陽気に食べたり飲んだりしていたところ、私とDはすぐに酔いが回り、しばらくベンチに横になって休ませてもらった…それも振り返れば良い思い出である。

可愛い街並み、のどかな風景、美味しいワイン…どの町でもベルリンとは違う魅力を満喫しました!

ドイツ紀行
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