ドイツ人から見た、日本のすごいところ②

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ゴミを捨てられない街

前回の記事では、私が常日頃から「ドイツよりも日本の方が良い」と思っている2つの点について紹介した。今回は、2回日本へ行ったことのある同居人ベルリーナー・Dの目線から、「日本ってすごい!」と思われるポイントについて詳しく書いてみたい。

まず、Dが本当に不思議に思ったらしい点は『ゴミ』である。

街中にゴミ箱がないけど、日本人はどこでゴミを捨てているの?

確かに、私も久しぶりに一時帰国すると「あれっ?」と思う。日本で過ごした子ども時代は、公園や駅のホームなど、もっとゴミ箱があった記憶があるのだが、テロ対策や経費削減などで年々その数が減っていった。今では必ずゴミ箱がある場所といえば、コンビニの店内くらいしか思い浮かばない。

一方でドイツで外を歩いていると、歩道でも公園の中でも、数百メートルごとにゴミ箱を見かける。駅のホームだけではなく、バスやトラムの停留所でも、時刻表の横に必ずゴミ箱が設置されている。ティッシュで鼻をかんだり、歩きながら何かを飲み終わったとき、探し回ることなくすぐにゴミを捨てることが可能。

カラフルで可愛らしいファサードの建物が一列に並んだ広場
可愛らしい街並みの港町、ロストックにて。ここに写っている範囲だけで3つのゴミ箱(黄色の矢印)がある

この感覚でいると、日本では「探してもゴミ箱が見つからない。コンビニもゴミの持ち込みは禁止しているし…」と困ることになる。ドイツ人が不思議に思うのは当然だ。

日本人はどこでゴミを捨てているのか、という問いへの答えは、「持ち帰るか、移動先で捨てている」となるだろう。帰宅中であれば家まで持って帰るだろうし、通学中や通勤中であれば、学校や職場に着いてから捨てることになる。

私の母はいつも鞄にビニール袋を一つ入れて持ち歩いています。ゴミ袋にしたり、濡れた折り畳み傘を入れたり、何かと便利なのだそうです

更にドイツ人は、「どうして日本の街はゴミ箱がないのに、道にゴミが落ちていなくて綺麗なの?」と驚く。

伝統的な日本家屋が残った街並み
伝統的な家屋が並ぶ、愛媛県の内子町にて。夕方に到着したのだがゴミ一つ落ちていない

確かに私も日本からベルリンに戻ると「こんなに汚かったっけ」といつも首を捻るのだが、ドイツには至る所にゴミ箱があるにもかかわらず、ポイ捨てされたゴミがよく目につくし、荒らされたようにゴミ箱の周りが散らかっていることも多い。

ポイ捨てが少ないのは、日本人のステレオタイプとしてよく言われるように、マナーが良いということもあるだろう。一方で、人目を気にするという文化と、調和が大事にされる集団主義が根付いているからだとも思う。

青空の下で、買い物したり写真を撮ったりしている大勢の人
マナーと集団主義といえば、義務ではないのに、屋外でもみんなマスクをしていることに私とDはびっくりした。ドイツでは屋内ですらマスクをしている人が少ない

信頼できる公共交通機関

日本で電車の乗り継ぎを調べていると、乗り換え時間が数分しかない、ということが度々あった。「間に合うの?」と心配するDに、私は「大丈夫、ドイツとは違うから」と答えていた。

そう、ドイツ人の目には信じられないことのように映るものの一つは、日本の公共交通機関の時間の正確さである。3分あれば余裕で他のホームまで移動できる。

雲が垂れ込めた山間部にある、JR大歩危駅
徳島県の秘境・祖谷にも電車とバスを乗り継いで行ってきた。本数は少ないがちゃんと時間通りに来るので、事前に調べておけば大丈夫

Dは「すべてスケジュール通りにいくなんて…!」と感動していたが、それもそのはず。いつもと言っていいほど電車が遅れるドイツでは、乗り換え時間に最低でも10分は見ておかないと不安である。私は長距離の特急列車に乗り換える時など、絶対に遅れることができない場合は、20分ほど余裕を持つようにしている。

しかし、すべての電車が時間通りに走っているという前提でスケジュールを組める日本では、こんな心配は無用!ベルリン在住の日本人の友人とドイツ出身の旦那さんは、日本に一時帰国中、一度駅を出て切符を買い、他の鉄道会社の電車に乗り換えるというオペレーションすら、3分で達成できたという。

更に日本では、電車以上に外的な要因に運行状況を左右されそうなバスでさえ、ちゃんと時間通りに来るし、急にキャンセルになることはない。

車窓からは、青い海にかかった白い大きな橋が見える
四国周遊旅行中は毎日のようにバスにお世話になった。徳島県の大鳴門橋に向かう路線にて

一方でこの冬、ベルリンでは電車やバスの本数が間引きされることが頻発した。ベルリン市交通局によれば、その理由は「人手不足」。コロナ以上に風邪が猛威を振るっており、運転手にも病欠が相次いでいるのだという。

私が通勤に利用しているバス路線でも、急にバスがキャンセルになることが二日に一度くらいあった。通常は10分に1本来るのだが、2本立て続けにキャンセルになり、20分以上バス停で待たされることも。

感心したのは、寒い中、誰も文句を言わず静かに待っていたこと。ようやく来たバスに一斉に乗り込み、混み合っている中で、運転手の女性が「皆さん色々と言いたいことがあるでしょうけれど、悪態をつかずにいてくれてありがとうございます。私たちとしても申し訳ないのですが、運転手が足りていないのです」というアナウンスをした時には、あたたかな拍手すら起こったのでした

しかし日本では、風邪の流行シーズンになると電車やバスの本数が減る、という事態を聞いたことがない。もちろん利用者としては助かるが、体調が悪くても無理して出勤している運転手もいるのだろうと考えると、どちらが良いとは一概には言えないところだ。

どちらにしても、時間通りに運行しようという努力が感じられないことも多いドイツの公共交通機関に嫌気が差す度に、「日本から学んでほしいね」という話をDとしている。

利き手まで見ているサービス

日本のサービスのきめ細やかさも、ドイツから来た人の目には信じられないレベルに映る。お客さんからサービス提供側に何か聞いたり求めたりすると、なるべく希望に沿うよう最善を尽くしてくれるし、もし沿えない場合でも「申し訳ございませんが…」と丁寧に謝罪してくれる。

お客様は神様である日本にいると当たり前のように思えるが、“サービス後進国”と呼ばれるドイツではまったく普通ではない。この点に関しては以前、「ありがとう」も「すみません」も言わない接客という記事にまとめている。

日本で驚いた体験談としてDがよく語るのは、弟と初めて日本旅行をしていた数年前、某ディスカウントストアで日本限定のキットカットを探していたときのこと。

店員の男性に「Do you have KitKat?」と英語で聞いたところ、(おそらくKitKatという発音が良すぎて)店員さんは一瞬フリーズして考えた後、「あぁ〜っキットカット!」と大急ぎで探しにいってくれたらしい。

そして戻ってくると、キットカットがないことをDと弟に謝罪し、深々とお辞儀したそうだ。Dは今でも思い出しては笑う。

いやぁ、キットカットがお店にないというだけであんなに謝られるなんて、日本ってすごいよね

今回の日本滞在で受けたサービスの中で一番素晴らしかったのは、愛媛県の道後温泉街にあるモダンなホテル。

チェックイン開始時間を少し過ぎたくらいに到着すると、ホテルのエントランス前にはスーツ姿のスタッフが2人控えていた。私の名前を伝えたところ、「ようこそいらっしゃいました」と私たちを中まで案内してくれつつ、「○○様ご到着です」とインカムでフロントのスタッフに連絡。そして私たちがフロントの前まで来ると、既に部屋の鍵が用意されていた。

そのまま部屋まで案内してくれた若い女性は、私の連れが日本人ではないことを見ると、「英語の方がよろしいですか?」と流暢な英語に会話を切り替えてくれて驚いた。非常に感じ良くホテルの設備について説明してくれ、「コース料理の内容も英語でご用意するようにしますね」という。

そして夕食の時間になり、ホテル内のレストランで席に案内されたが、置いてあるメニューが二人とも日本語だった。私がサービスの人に「すみません、英語のメニューはありますか」と聞いたところ、「すぐに確認してまいります」と裏に消えていった。しばらくして戻ってくると、「申し訳ございませんが少々お待ちください」とのこと。

結果的に、それから15〜20分くらいしてから、Dの手元に印刷された英語のメニューが届いた。その日はおそらく彼が唯一の外国人ゲストだったのだが、私が尋ねたために急いで作ってくれたようだ。そんなに手間を掛けるつもりではなかったので、私たちの方が申し訳なくなった。

コース料理も終盤になる頃、サービススタッフのリーダーと思われる男性が、「お料理はいかがですか」と英語で話しかけてくれた。とても腰が低く、「メニューを英語にしたものの、私たちも自信がないので、もし何か間違いがあれば教えてください」という。Dは「大丈夫です、ありがとうございます」と恐縮していた。

そして翌朝、朝食の席に案内されると、Dだけテーブルセッティングが少し違った。サービスの人が、「左利きでいらっしゃいますよね」と、白ごはんを右側に置き、英語のメニューを左側に置いてくれたのである。夕食のときにそこまで見ていて、ちゃんとスタッフ間で申し送りされているのか、と感動した。

様々な小鉢が並ぶ和風の朝食
豪華な朝食をDの側から撮影

こういった高級ホテルでは、サービスがきめ細やかでとりわけ素晴らしいのは、そうあるべきといえばそうなのかもしれない。しかし、その他に泊まった簡易なビジネスホテルでも、やはりサービスには非常に良い印象しか受けなかった。

日本のサービス、最高!!

日本考察
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