クロアチア紀行③:他にはない風景を求めて

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湖の階段がある国立公園

前回の記事ではクロアチアの首都・ザグレブの思い出を紹介したが、その後に向かったのは、都市部から一転して大自然のあるプリトヴィツェ湖群国立公園

透明度の高いエメラルドグリーンの湖で有名な国立公園で、ユネスコの世界遺産にも登録されている。広大な敷地に大小様々な湖が階段状になって隣接し、無数の滝で繋がっている風景は、世界中でもここでしか見られないだろう。

鏡のような上の湖から水が流れ落ち、遊歩道の下にある湖に繋がっている
エントランス1から入ったあたりの眺め。遊歩道を歩く人々が蟻のように見える

ザグレブから長距離バスで2時間くらいの距離で、日帰りで訪れる観光客も多い、クロアチア屈指の観光地である。国立公園内は遊歩道が整備されているので、長時間ハイキングするといっても、スニーカーと軽装で十分。

まだ葉のついていない木々の間に整備された遊歩道と、その向こうで流れ落ちる滝
滝の水しぶきを感じる近さを歩いていく

上流の湖群と下流の湖群があるが、私たちは両方を回る長いルートをハイキングしようと決めており、入場券も事前にオンライン予約して、朝8時過ぎにはエントランスに着いた。ルート案内によれば4~6時間掛かるはずだったのだが、私たちはなんと3時間くらいで回り終わってしまった。

透明度の高い静かな湖の畔に小屋があり、遊覧船が停まっている
時間が余ったので公園内のカフェでゆっくり休憩。近くには遊覧船の乗場があり、船は入園料に含まれているので好きに利用できる

後で聞いた話によれば、夏のハイシーズンには大混雑となり、遊歩道も人が溢れて思うように歩けなくなるらしく、そのためにハイキングルートも余裕を持った時間設定になっていたのかもしれない。私たちが行った5月初めは、イースター休暇後の落ち着いた時期だったので、それほど混雑していなかった。

階段上になった地面を木々の間を縫うように流れ落ちる、無数の水の流れ
無数の白糸のように、高い場所の湖から低い場所の湖へと、階段状に水が流れ落ちる

百聞は一見に如かずということで、自然の美しさは写真を見ていただくとして、いつかこの国立公園へ自力で行くことを考えている方のために私が書いておきたいのは、二つあるエントランスの両方にバスが停まることである。

インターネットでプリトヴィツェ湖群国立公園行きの長距離バスを探すと、おそらく最初に見つかるのは私たちも利用したFlixbusなのだが、最寄りの停留所としては南側のエントランス2Plitvička Jezeraだけが出てくる(2023年7月時点)。北側にあるエントランス1からは3km以上距離が離れている。

問題は、エントランス2付近にあるホテルは国立公園の内側にあり、どれも比較的高額であることと、日帰りで訪れる場合であっても、スタートしたエントランスと違うエントランスから帰りのバスに乗りたいと思ったときに困ることだ。

結論を書くと、エントランス1にもちゃんとバスが停車するのでご心配なく!私たちも旅の計画中にオンラインのレビューなどを色々と読んで、エントランス1から国立公園に入るつもりで計画していたが、心配だったのでザグレブでバスに乗り込むときにも運転手さんに確認したところ、「もちろん停まるから大丈夫」と当たり前のように返事をされた。

ドイツが拠点の大手・Flixbusで予約していましたが、実際にはザグレブからプリトヴィツェに向かう乗客は別グループにされて、提携会社の小さなミニバスに乗せられたのでした

エントランス1付近の村には手軽な値段の宿がある。私たちが国立公園へ行く前に前泊したのも、とても可愛らしく清潔なペンション。

青空に映える、三角の屋根のコテージ風ペンション
小高い場所にポツンと佇む一軒家風の宿は、内部も綺麗にリノベーションされていて素敵だった

ちなみに、少なくともエントランス1には無料で荷物を置いておける倉庫スペースがあり、インフォメーションセンターで鍵を受け取ることができる。ツアーではなく自力でプリトヴィツェ湖群国立公園に行かれる方は、ぜひエントランス1付近も活用していただきたいと思う。

世界一の○○の町・ザダル

クロアチア内陸部の国立公園を堪能した後は、バスで約2時間かけて沿岸部へ移動し、小さな港町・ザダルに到着。これからはアドリア海に沿って旅を続けていく。

Google Maps上で旅の経路を示した地図
Aからスタートし、Dの地点まで南下してきた

旧市街は1~2時間で回れてしまうほど小さいのだが、中心広場にはローマ帝国時代の遺跡が残り、千年以上前に建てられた教会の内部にも入ることができる。

円柱のようなかたちの建物と、尖塔のある建物が隣接している
左の円柱形の建物が、長い歴史を感じる聖ドナト教会

ごく小規模とわかっていながら、私たちがザダルに一泊することにしていた理由は、『世界一美しい夕日を見られる町』と謳われているから。小さな半島のようにアドリア海に張り出した旧市街の先端からは、何にも邪魔されない水平線を一望でき、これが西向きなのである。

映画のヒッチコック監督も絶賛したという夕日を私たちも見たい!と期待してザダルに向かったものの、

…なんとこの日に限って雨!

残念ながらお天気に恵まれなかった。こればかりは仕方がない。それでも海沿いをゆっくり散歩していると、モダンなインスタレーションに出会った。

『太陽への挨拶』という名前の、太陽光を利用したガラス張りのモニュメント(夜になるとカラフルに発光する)

この『太陽への挨拶』の近くには『海のオルガン』という、海沿いの階段にあけられた穴が波風を受けると内部のパイプが共鳴し、自然が音楽を奏でるという素敵なインスタレーションもある。

翌日も雨模様だったので、私とDは街中をふらふら歩いてマーケットを冷やかしたり、カフェに入ってコーヒーとケーキをゆっくり楽しんだりし、次のバスの時間までまったり過ごした。これはこれで贅沢な旅行中の時間の使い方だった。

城壁の内側にある石畳の道沿いに、フルーツや野菜などが所狭しと並んでいる
城壁のそばで見つけた、色とりどりのフルーツなどが売られているマーケット

食べもの繋がりでいえば、クロアチアではスロベニアと同じくトリュフが名物。私たちも時々レストランでトリュフを使った料理を注文してみたが、B級グルメ(?)ながら意外なほど美味しかったのが、ザダルのハンバーガーレストランで食べた「トリュフクリームとパルメザンチーズをトッピングしたフライドポテト」だったので、ご参考までに写真を紹介しておきたい。

チキンがのったサラダ、トリュフクリームポテト、ハンバーガーとビール
クロアチアはクラフトビールも色々あり、ビール好きなDは喜んでいた。このレストランにはハンバーガーに合うように開発したというビールもあった

もちろん新鮮な魚介類を使った料理も豊富である。小魚やエビ、小さなイカを揚げて、塩とレモンで味付けしたシンプルなプレートでも、これに白ワインを合わせてゆっくり食べると至福の一時。

ほぼ素揚げでサクサクになっている魚介類
ザダルの路地裏にある隠れ家的なお店にて

いよいよ旅も後半戦。この後は日本人にも人気の旅先であるスプリト、ドゥブロヴニクと続きます

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