ドイツ式・猛暑の乗り切り方

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驚きの気温40度

2026年6月下旬、ドイツはじめ、ヨーロッパは記録的な猛暑に襲われた。私が住んでいるベルリンでも、なんと40度を記録。10年以上ドイツで暮らしている私にとっても、今までで一番暑い数日間を経験した。

同じ北半球でも、梅雨の後に真夏が到来する日本からすれば、「7月でも8月でもなく、6月にそんな猛暑なんて」というのも驚くポイントだったかもしれない。しかし、実際には、初夏のはずの6月に急に真夏のように暑くなる、ということは以前にもあった。

個人的には、ドイツでは日本よりも2ヶ月くらい季節が前倒しという印象です。8月後半になると、もう秋の気配を感じることも…

ただし、これまでは6月にいきなり暑くなっても、30度くらいまでだった。湿度が低いので日中も日陰に入れば心地よいし、朝晩は涼しくなるし、そこまで大変な思いをした記憶がない。

ところが、日中に40度まで気温が上がった2026年は、深夜になっても30度までしか下がらず、窓を全開にしていても寝苦しかった。

更には、この“日中”というのが、6月後半は特別長いのである。緯度の高いドイツでは、日の出は4時半頃、日の入りは21時半過ぎ。日が暮れて落ち着くのは数時間しかない。

まだ明るい公園を歩く3人の後ろ姿と、後ろに伸びている長い影
夏至を過ぎた7月の写真だが、友人たちとビアガーデンへ向かう19時頃でもまだこの明るさ

一方で、ドイツの住宅やインフラは、気温が40度に達することを想定して造られてはいない。基本的に冷房はないのである。

この過酷な暑さを冷房なしでどう乗り切るのか。ヨーロッパで記録的な猛暑、というニュースを見た日本の家族や友人たちからも、心配する声があったので、この記事ではベルリンの現状をご紹介したい。

第一の避難場所

猛暑を乗り切る方法。多くのドイツ人にとって、それは第一に「家で大人しくする」ことを意味する。在宅勤務が可能な人はなるべく出勤も控える。

遮断性・気密性の高いドイツの建物は、外が猛暑であっても、中はひんやりしていることが多い。朝晩の涼しい時間帯に窓を開けて空気を入れ替えてから、窓を閉めてカーテンやブラインドも下ろし日光を遮断する。すると、薄暗い家の中は、日中もあまり温度が上がらず快適に過ごせるのである。

もちろんこれは、しっかりした造りの一軒家や、アパートの下の方に住んでいることが前提だ。そう簡単にはいかない場合の代表格は、アパートの最上階

4階建てアパートの最上階に住んでいる私もまさしく該当します…

中庭からアパート全体の入り口を開けて、階段を上がっていくと、最初はひんやりしていた空気が一階ごとにどんどん暖かくなっていくのを肌で感じる。屋根の真下にある最上階は、地上階と比べて、冗談ではなく10度近く温度が高いと思う。

天窓があるキッチンのテーブルでサラダを混ぜている私
ある暑かった週末、同じく最上階に住んでいる友人宅でサラダを作る私。明るいが20時過ぎ

「今週末は気温40度に達する」というニュースで騒然となった6月下旬、私たちはどうしたか。自分たちのアパートにいては、室温が優に30度を超えることは目に見えていた。

運良く、夫のベルリーナー・Dの実家に避難する、という奥の手を使うことができた。Dは在宅勤務中心なのでどこからでも仕事できるし、私も育児休暇中で出勤の必要がなかったことが幸いした。

ベルリン郊外にあるDの実家は、広い庭がある一軒家。外が40度で干からびそうな暑さでも、日中は窓とカーテンを閉め切っておくと、リビングスペースは27度くらいまでしか温度が上がらなかった。更には地下にもゲストルームがあり、20度くらいで肌寒いほど。

大きな木や、テーブルと椅子、薪木を入れるスペースのある広い庭の一角
広い庭の一角を、2階のベランダから撮った写真

日本の蒸し暑い夏日は私も馴染みがあるものの、湿気の少ないドイツでの40度はどんな感じだろうと思っていた。外にいても意外に汗が吹き出すことはないが、ヒーターの直下にいる感じ、といえば良いだろうか。タオルなどの洗濯物を外に干しておいたら、たった数時間でパリパリに乾燥していた。

39度と40度になった土日を挟んで5泊させてもらった後、暑さが落ち着いたので自分たちのアパートに戻ると、室温が少なくとも35度はあった。窓もカーテンも閉め切っていったが、やはり空気が温まってしまっており、必死に換気して快適な室温に戻るまでに数日掛かった。

緊急時の行き先

より涼しい家に避難させてもらう、という私たちのような奥の手を使えない場合、ドイツではどうするのか。

日中に少しでも涼みたいと思ったら、行き先の候補はいくつかある。スーパーデパートは冷房がきいているし、温度と湿度が管理されたミュージアムの中も快適だ。

私はハイデルベルク大学に通っていた頃、冷房がきいていて、22時まで開館している大学図書館に入り浸っていた。

木が並ぶ中庭と、窓の後ろの書棚が照明に照らし出されている建物と、その後ろの薄闇
修士論文を書いていた2018年7月、閉館間際の大学図書館の中庭

バスや電車といった公共交通機関の中も空調があるはずだが、壊れているのかなぜかきいていないことが多く、これはあまり当てにならない。

猛暑で特に問題となるのは、夜の寝苦しさ。私の友人は、ちょうど家族が泊まりに来ていたが、自宅では暑くて寝られなさそうなので、冷房のあるホテルを急遽取ってもらったという。

小さな子どもやお年寄りのいる家庭だけではなく、ペットを飼っている人も、今回の熱波では気が気ではなかっただろう。私と同じアパートの2階に住んでいる友人夫婦は、室内でうさぎを飼っている。猛暑が落ち着いた後に会って話していると、慌ててポータブル冷房を注文したが入荷まで数週間待ちで、まだ届いていないという。

ところで、私が通っている比較的規模の大きなバレエスタジオには、冷房が取り付けられている。ただし、仲間の大半は冷房に慣れていないヨーロッパ人。汗をかいた肌に冷たい空気があたると体に悪いといって、途中で切られてしまうことが多い。

ドイツ語では「Es zieht」といい、「隙間風が入る」「(冷気などがあたって)寒い」といった意味である。扇風機の風も同じく嫌われがち。冷房と扇風機に慣れた日本人としては、「もっとガンガンつけてくれていいのに…!」と毎回思うのだが、反対されるのが目に見えているのでまだ口にしたことがない。

暑いと休校?!

最後に、日本人からするとちょっと信じられないようなドイツの学校の制度を紹介したい。Hitzefrei(暑さ休み)といって、暑いと短縮授業になったり休校になったりするのである。

全国的に統一された規則があるわけではなく、連邦制のドイツでは、各州がそれぞれ定めることになっている。ベルリン州と、そのお隣のブランデンブルク州では、各学校長に判断が委ねられている

州教育省によれば、原則的には各学校の状況、つまり教室内がどのくらい暑いかによって、1学年から10学年までで授業の短縮が可能としている。大学入学前の試験を控えた高学年では適用されないこともある。

10時に屋外の日陰で25度、もしくは11時に屋内で25度が観測された場合、学習環境に適さないとされて、12時までに授業が切り上げられ、児童と生徒は家に帰されるのである。

暑さに慣れた日本人からすれば、「たった25度で?」と驚いてしまう。ドイツでも気候変動で真夏日・猛暑日が年々増えているので、徐々にこの制度も見直されていくのかもしれない。

私が日本で学校に通っていた20〜30年前は、まだどこにも冷房がなく、下敷きでパタパタ仰ぎながら凌いでいました。ドイツの基準だったら毎日Hitzefreiになっていたでしょうね

ドイツ考察
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