ベルリンのバレエレッスン事情

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バレエ教室がたくさん!

日本でもドイツでも、新しい街に引っ越したら、しなければならないこと。それは、新しいバレエ教室を見つけること。

教室の雰囲気、先生との相性、レッスンの時間帯、場所、料金…考慮すべきポイントがたくさん!

私はベルリンへ引っ越すまでの3年間、南ドイツのハイデルベルクで、イギリス人女性の先生に週2回習っていた。この先生がバレエ教師としても人としても素晴らしく、生徒みんなから慕われ、私も大好きだったので、余計にハードルが上がってしまい、ベルリンで納得のいくコースを見つけるまでに意外に時間が掛かった。

というのも、贅沢な悩みだが、文化の街ベルリンには、バレエ教室がたくさんある。試しにGoogle.deで、「バレエ学校 ベルリン」と入力して検索すると、まず規模が大きなところだけで20件はヒットするが、個人運営のところも含めると何十・何百あるのかわからない。

規模の小さないわゆるバレエ教室でも、ドイツ語では“Ballettschule”(バレエ学校)と呼ばれることが多い。一方で、研修生制度があり、修了すると資格をもらえるところもある

とりあえず体験レッスンに行ってみなければ、その教室との相性はわからない。というわけで、ベルリンに来てから1ヶ月の間に、5つの教室で複数のレッスンに参加した。その中で、ハイデルベルクとの違いに気づいたり、ちょっとしたカルチャーショックを受けたりすることになった。

プラス面

  • フレキシブルなオープンクラス制
  • チケット制が一般的
  • 手頃な料金・各種割引
  • 国際的な教師陣と参加者
  • 長期休暇が少ない

まず、何かと急な用事が入りやすい社会人にとって助かるのは、オープンクラス制が多いということ。つまり、事前に特定のクラスに登録する必要がなく、いつでも好きなクラスに参加すれば良い。

料金も、月謝制も選べるが、フレキシブルなチケット制をメインにしているところが多い。10回券などを購入しておいて、レッスンに参加するときに、受付で日付を記入してもらう。私が通っているところでは、有効期限が6ヶ月と長いので、月に1〜2回行ければ使い切れる。

ベルリンの10回券
10回券の他、教室によっては30回券や50回券もある

10回券は100〜130ユーロくらいが相場のようである。つまり1クラスが1,500円前後。私が日本でバレエを習っていた横浜だと、2,000〜2,500円くらいが普通だったから、かなり手頃な値段。ちなみにハイデルベルクだと、10回券が150〜180ユーロくらいしたので、やはりベルリンの方が格安である。更に学生割引などが利く場合もある。

ベルリンらしくて面白いのは、『プロ割引・研修生割引』を設けている教室が多いこと。プロのダンサーや、バレエ教師や、プロを目指して研修をしている人は、通常よりもかなり安くレッスンを受けられるようになっている。私はこのシステムはハイデルベルクで見たことがない。

これもベルリンらしいが、教師陣も参加者も国際色豊か。フランス人やイギリス人、日本人の先生もいる。生徒も外国人が多いので、レッスンは英語で行われることがほとんど。これもハイデルベルクでは経験がなかった(イギリス人の先生もロシア人の先生も、ドイツ語で教えていた)。

それから、ベルリンのバレエ教室は長期休暇が少ない。「バレエ学校」というだけあって、ハイデルベルクでは、州が定めた学校休暇(夏休み・秋休み・クリスマス休暇・イースター休暇など)にはバレエ教室も完全に閉まることが多かった。子ども達にとってはいいけれど、学校に関係のない大人からしたら、しょっちゅうレッスンがなくなるので痛手。

夏休み中は6週間もレッスンがない…

しかし、複数の教師が教えているベルリンの大手の教室では、学校休暇中もレッスンを行うことがあるようである。私が通っている教室は、イースター中もレッスンを行うとのことだった。

マイナス面

  • スタジオが狭い
  • 先生の質がバラバラ
  • 友達ができにくい

もちろん全てが最高な条件なわけではない。まずマイナス面として挙げられるのは、総じてスタジオが狭めなこと。着替えるスペースも小さいことが多い。これは東京でも同じだと思うが、都会ほどスペースが少なく、賃貸料も高いため、仕方がないこととも言える。

ハイデルベルクと比べると「狭いなぁ」と思う教室もあるけれど、東京や横浜と比べるとそれでも広い!

若者、それもアーティスティックな人が多いベルリンではバレエ人口が多く、バレエ教師の数も多い。それゆえ先生の質もバラバラ。元プロや現役のプロ、もしくは長年バレエ教師のキャリアを積んできた人もいれば、初中級クラスに行ったところ、正直「まずご自分がレッスンで鍛えては…?」と思ってしまう先生にも出会った(バーレッスンのお手本の時点で、つま先や膝が伸びきっていなくてビックリした)。

最後に、フレキシブルなオープンクラス制のデメリットがあるとすれば、友達ができにくいことだと思う。毎回のレッスンで参加者の顔ぶれが違うし、発表会に向けてグループとして一緒に努力することも少ないから、周りの人と雑談する機会がほとんどない。大抵の人は、レッスン後もさっさと着替えて帰るので、イメージ的にはフィットネススタジオに近いかもしれない。

カルチャーショック

私が体験レッスンに行った5つの教室の中で、特に「ベルリンらしい」のはこちら。

Tanzfabrik

Tanzfabrik』(ダンス工場)という名前からしてオルタナティブな香りがするが、Kreuzberg地区にあるメインの建物は、本当に工場のような見た目。ここはクラシックバレエではなく、コンテンポラリーダンスが中心の教室で、3つのスタジオで並行して多数の先生が教えている。

体験レッスンに行きたい旨を事前にメールで伝え、レッスン開始の15分くらい前に受付に着いて、料金の支払いなどを済ませる。「着替えは奥です」と言われて、奥の方のスペースに入っていくと…

…男女が一緒に着替えている?!

そう、着替えスペースが1つしかなかった。参加者は若い人ばかりだが、男女問わず、みんな普通に着替えている。まぁ、ここはドイツ。今でもサウナは全裸で男女混浴が普通だし、それも旧東ベルリンといえばFKK(セクシャルな意味はなく自然や自由を感じるための裸体主義)の中心地である。

家でレオタードを下に着てから来れば良かったと思いながら、日本人の私は恥じらいを捨てきれず、やはり男女は分かれていなかったが、トイレの個室で着替えを済ませた。一安心して、トイレのドアを開けると…隣のシャワースペースでシャワーを浴びたばかりらしい全裸の男性が、タオルで体を拭いていた。目の前にいたので避けることもできず目が合ったが、「ハロー」といたって普通に挨拶される。「恥ずかしがる私の方が変なのか」という気さえしてくるから不思議。

そして参加したコンテンポラリーバレエのレッスンの先生は、中年の男性だったのだが、ペラペラの白いタンクトップに同じくペラペラの白いショートパンツ、白い靴下といういでたち。ほぼ下着みたいな衣裳のダンス公演も何度も観たことがあるし、今更何も思わないのだが、「せめてもう少し生地の厚いレッスン着にしてください」と内心ツッコんだのは言うまでもない。

このある種のカルチャーショックを、ベルリンに10年住んでいるドイツ人の友人に話したところ、

あー、すごいベルリンっぽいね!でも滅多にそんなところないから大丈夫だよ。笑

とのことだった。ちょっと安心?

ベルリンでレッスンに通うメリット

月謝制だと1つの教室に縛られがちになるが、チケット制をうまく利用すれば、好きな先生の好きなクラスを狙って、日替わりで違う教室に通うことも可能。また、ベルリン国立バレエはじめ、プロの現役ダンサーが教えてくれるオープンクラスがあることも。

ベルリン国立バレエのフランス人女性ダンサーに2回習ったけれど、お手本が美しくてそれだけでうっとり

また、総合的な「ダンス教室」ということで、ジャズやステップダンスなど、色々な種類の踊りを同じチケットで習えるところも多い。ベルリンはコンテンポラリーダンスのクラスも豊富。更にその中でも様々な系統があり、バーレッスンはクラシックバレエとほぼ同じでセンターレッスンが違うというクラスもあれば、そもそもバーレッスンもなく、床に転がることから始まるクラスもある。私が参加した中で一番アクロバティックだったクラスは、でんぐり返しをしたり側転をしたり、助走をつけて思い切りジャンプしたりと、レッスン後に両膝にくっきり痣ができるほどハードだった。

私は最終的に、クラシックバレエはBallettzentrumのイギリス人女性のクラス、コンテンポラリーバレエは上記Tanzfabrikのドイツ人女性のクラスに通ってみることにした。もちろん、家でレッスン着を下に着てから後者の教室に行っていることは、言うまでもない。

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