ドイツビール飲み比べ・前編

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ビール・テイスティング会

ついにこのテーマについて記事を書く時がきた。そう、ドイツといえばビール

「ドイツに関する日本語のブログを運営している」という話をする度に、「じゃあビールについても書かないと!」と周りのドイツ人に言われ続けて久しい。確かにビールなくしてドイツ文化は語れないし、せっかく現地で暮らしているのだから、色々な種類を試して記事にしたら面白いだろうとは思いつつ、私には重大な問題があった。

お酒に弱いんです…

美味しいものを食べながら、美味しいお酒を少し飲むのは好きなのだが、ビールであればグラス一杯が限度。自分で注文したり買ったりするときには、酔いにくいラードラー(ビールのレモネード割り)を選んでしまうので、ビールの種類や味にもまったく詳しくない。

そんなわけで及び腰だった私を説得したのは、同居人のベルリーナー・Dである。

何人かでビールのテイスティング会をしよう!一口ずつならAkiも大丈夫でしょ

そこで、Dの親友で同じくベルリン生まれ育ちのドイツ人男性・Jと、私の同僚である日本人女性・Yさんも呼んで、4人で複数のビールをシェアして飲むことになった。

17時に私とDの家で集合し、色々な食べ物でアルコールを緩和(?)しながら、23時までに試したビールは全部で12種類

壁際に一列に並べられたビール瓶12本
空き瓶を一列に並べてみるとなかなか圧巻

今回試したのは、Dがセレクトした『スタンダードなドイツビール5本変わり種1本』と、Yさんが調達してくれた『ベルリン産クラフトビール6本』。

集まった4人とも、ビールを時々飲むのは好きだけれど詳しいわけではない、素人のドイツ人と日本人である。そんな私達が独断と偏見により、英語・ドイツ語・日本語混じりであれこれ批評した成果として、各ビールについて短いコメントを記していきたい。

合間にドイツのビールと社会に関する豆知識も盛り込んでいく。

(専用のグラスがなくワイングラスで撮影しているのと、うまく泡が立ってないことも、素人の愛嬌としてご容赦ください)

① ピルスナー

ピルスナー
醸造所:Berliner Kindl、アルコール度数:5,1%

ドイツのビールといえば、消費量の半分以上を占める圧倒的な人気のピルスナー。ピルスとも呼ばれる。生産は北ドイツが中心だが、今では全国的に愛飲されている。

私達が用意したのは、ベルリンの大手醸造所Berliner Kindl(ベルリーナー・キンドル)のもの。明るい色をしており味も爽快。苦すぎず酸っぱすぎず、良く言えばクセがなく飲みやすいのだが、悪く言えば特にこれといった感動もない。

ザ・スタンダードなビール。私達4人の評価は、「面白味に欠ける」ということで、5段階中2,0。

★★☆☆☆

② ジャーマンIPA

ジャーマンIPA
醸造所:BRLO、アルコール度数:7,0%

お次は、スタンダード中のスタンダードであるピルスナーとはある意味対極にある一本。ベルリン産のクラフトビール、ジャーマンIPA

IPA(インディア・ペール・エール)という種類が元々好きな同居人Dに好評。ドイツ産の材料にこだわり、通常のIPAよりも色が濃いめで味もしっかりしている。アルコール度数も高め。フルーティーでホップの味が前面に出ており、ほどよい酸味もある。

私達4人の評価は、「おぉ〜ホップ!」という一口目の好印象が強かったので、5段階中3,5。

★★★☆☆ 〜 ★★★★☆

豆知識:クラフトビール

スーパーに行けば何十種類ものビールがずらりと並ぶビール大国のドイツ。どこでも買える大手醸造所のビールが多いが(D曰く「ドイツ人は酒飲みだから、少量を味わうよりも大量に安めのビールを飲む方が好きなんだよ」)、最近はクラフトビールも人気だ。

マイクロ・ブルワリーとも呼ばれる小規模なビール醸造所で作られるクラフトビールは、少し割高だが、個性豊か。ベルリンにも複数のマイクロ・ブルワリーがあるが、今回Yさんが持ってきてくれたのは、自宅の近くにあるというBRLO(ベルロ)の6本お試しセット。

③ ベルリーナー・ヴァイセ

ベルリーナー・ヴァイセ
醸造所:BRLO、アルコール度数:4,0%

ベルリンといえばベルリーナー・ヴァイセ(ベルリンの白ビール)。BRLOのホームページによれば、ナポレオンもこのビールを好み、「北のシャンパン」と呼んだとか…。

名前の通りごく薄い色で、味はというと、酸っぱい!それがベルリーナー・ヴァイセの特徴なのだが、発酵に乳酸菌も使用しているので、甘味や苦味よりも酸味がガツンとくる。特に暑い夏の日に好んで飲まれるのもわかる。

酸味を緩和するため、お店ではラズベリーなどのシロップを入れて飲むのが一般的で、スーパーでも色々な種類のシロップ入りのバージョンが売られている。私もシロップ入りは好きなのだが、ストレートで楽しむにはやや酸味が強すぎた。よって私達4人の評価は、5段階中2,5。

★★☆☆☆ 〜 ★★★☆☆

豆知識:ビール純粋令

ビール好きの方はご存知に違いないが、ドイツには16世紀に制定されたビール純粋令(Reinheitsgebot)というものがあり、「ビールは麦芽、ホップ、水のみを原料とすべし」とされている(後から酵母も追加)。

現在でもドイツの醸造所はこの法律に則ってビールを製造しており、添加物がないぶんドイツビールは意外と賞味期限が短い

ビール純粋令によれば、上記のラードラーシロップ入りベルリーナー・ヴァイセなどもビールではないので、ビールミックス飲料(Biermischgetränke)と呼ばれている。いちごやチョコレートなど様々なフレーバーの“ビール”が存在するお隣のベルギーと対照的かもしれない。

④ シュバルツ・ビア

シュバルツ・ビア
醸造所:Störtebeker、アルコール度数:5,0%

シュバルツ(黒い)ビア(ビール)という名の通り、ドイツの黒ビール

好き嫌いが分かれるところで、フルーティーなビールが好きなDは首を捻っていたが、個人的には好きな種類。というのも、甘みが強いのだ。苦味もありつつ、チョコレートやコーヒーのような香ばしさ、またドイツの黒パンのような穀物の風味を感じる。

私、J、Yさんには好評だったので、4人の最終的な評価は5段階中4,0。

★★★★☆

⑤ ヘレス

ヘレス
醸造所:Spaten、アルコール度数:5,2%

南ドイツ・ミュンヘンを代表するビールの一つ、ヘレス。北ドイツのピルスナーに対抗して開発されたと言われている。私達が用意したのは、ヘレスの生みの親と言われている大手醸造所Spaten(シュパーテン)のもの。

ピルスナーと比べて苦味も感じる一方で、穀物の風味も強くまろやか。もう少し飲みごたえのある感じがする。

「普通に美味しいね」ということで、私達4人の評価は5段階中3,0。

★★★☆☆

豆知識:未成年でも飲酒が合法

ドイツではなんと16歳の誕生日から、ビール・ワイン・スパークリングワイン飲酒が合法である。リキュールなど蒸留酒は18歳から

そして保護者の監督のもとであれば、ビール等は14歳から飲んでよいとされている。子どもでもビールを飲めるドイツ、おそるべし。

⑥ バルティック・ポーター

バルティック・ポーター
醸造所:BRLO、アルコール度数:7,0%

お次は、ドイツ発祥の種類ではないが、BRLOが醸造しているバルティック・ポーター。コカコーラのような色合いをしている。

一口飲んで、私達は「ん?!」と顔を見合わせた。黒ビールと似てコクがあり、キャラメルのような香ばしさを感じるが、ビールというより何か他のものを思い出させる味…

すると日本人のYさんが一言。

醤油の味がします

「それだ!」と私も手を打った。そう思って飲めば飲むほど、醤油の味がするように思えてならない。

他の醸造所のバルティック・ポーターを飲んだことがないので比較できないのだが、私達にとっては醤油ビールだったこの一本は、独特の味を評価して5段階中4,0。

★★★★☆

豆知識:ドイツビールと修道院

ドイツでは修道院ブルワリー(Klosterbrauerei)のビールをよく見かける。キリスト教とビールという意外な組み合わせには、実は長い歴史がある。

8世紀にカール大帝が修道院での醸造を推進したと言われているが、それは当時の生水が不衛生だったため、煮沸して造るビールの方が安全で伝染病予防になったのだという。やがて一般にも販売され始めると大人気となり高値で取り引きされ、修道院の貴重な収入源になったそうだ。

私が大学に通っていたハイデルベルク近郊では、Neuburg(ノイブルク)という小高い場所に立つ修道院に附属の醸造所がある。

白い建物と、その前に広がる芝生で憩う人々
ネッカー河のほとりにある修道院

レストランも併設されてあり、天気の良い日は地元の人々で賑わう。フレッシュなビールをその場で味わうのは格別に違いない。

青空に映える山と、賑わうテラス席
右奥の方に修道院の建物がある

さて、ビールのテイスティング会は後編に続く。

食文化
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